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番外編:カート解放後「エッチな玩具の開発担当と逢っちゃいました!?」(5)

 交わりが終わる時まで、ずっと全部を覚えていられたらいいのに、と颯太は時々、真っ白になった記憶を手繰り寄せようと密かに努力する。  でも、藍沢にはなかなかかなわなくて、瞼を閉じて、再び開けた時、そこに愛しい人がいることを確認して、安堵する日々だった。 「また……」 「飛んじゃいましたね」 「きみ、が、しすぎる、から……」 「でも、この前より少しは我慢できるようになってきましたよ。颯太さん」 「そ、う……?」 「ええ」  藍沢は言いながら、颯太の髪を梳いた。指先が頭皮に接着して、ピリピリ、ビリビリと快楽の残滓が音を立てる。 「時々……隼人の記憶が、おれに移植できればいいのに、って思う……」 「?」 「飛ぶと、だって、何も覚えていられないんだ。もったいない」 「ふ……」  藍沢に向けてそう言うと、くすぐったそうに笑われる。 「あなたのことは、俺が全部覚えてるから」  言って、耳朶に吹き込むように囁かれる。 「だから、安心して」  ぞくぞくと駆け抜けてゆく甘い痺れに、颯太は少し肩をすくめる。藍沢にはかなわないな、と思うけれど、そうやって自分が誰かの一部になる感覚は、嫌いじゃなかった。 「それはそうと、俺は今日……もう昨日か、安心しましたよ」 「ん? 何が?」 「あの副社長にも、ちゃんとパートナーがいたことがわかって」 「えっ?」 「ま、あの人が浮気性じゃないとは限らないので、まだ要観察ですが」 「え、誰? えっ、まさか、社長? じゃないよね?」  颯太が面食らって半身を起こすと、藍沢はそんな颯太を自分の上に馬乗りにさせ、腰を掴んだ。 「そのまさか、だと思います。俺の勘からすると」 「ええっ」 「内緒ですよ?」 「それは、わかってるけど。ええっ」  藍沢の上で驚きながら身体を揺すると、いやらしい指が颯太の胸の飾りをつまんだ。 「ん」  途端に甘い痺れが湧く。こんなところ、感じるはずないと思っていたのに、藍沢にされると、それだけで、性感帯になるのが不思議だった。 「もう一戦、しますか……?」  藍沢が揶揄するので、颯太は身体を前に倒し、その唇で藍沢の口を塞いだ。 「好きだよ」  きっと誰が何を言おうと、この気落ちは色褪せない。 「隼人」 「……っ、名前で呼ぶの、反則です」 「あ」  颯太の尾てい骨に、藍沢のいつの間にか逞しくなった屹立がこすり付けられる。その甘い衝動に、颯太はもう一度、「好きだ」と呟いた。  =終=

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