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番外編:カート解放後「エッチな玩具の開発担当と逢っちゃいました!?」(4)(*)

 帰りのタクシーの中で、颯太は丸めた身体を藍沢に凭せかけていた。  挿入することに慣れてきたとはいえ、体内のプラグが颯太の身体を苛むことは事実で、細かな振動を繰り返す車内でのそれは、半ば拷問のようだった。 「一番小さいサイズ」 「っ」 「……よく我慢できましたね」 「ん」  藍沢の望みを聞いたら、いつの間にかこういうことになってしまった。食事の席で何食わぬ顔で社長や副社長と話しながら、後孔には初めて二人で使った時と同じサイズの、アナルプラグが挿入っていた。 「変に……思われた、かも……」 「大丈夫。緊張と、酔ったせいだと思われてますよ」 「本当に?」 「ええ」 「でも、もう……、も、もう……っ」  颯太のマンションまであと少し。藍沢が運転手に指示を出し、一通の細い道の手前で車を降りると、涙ぐみそうになっている颯太を支えた。 「っ……」  酔いのせいでなく、動くたびに中でバランスを変えるプラグのせいで、颯太は始終、上の空だった。変じゃなかったか思い返す間もないほどに、藍沢が課した条件が、快楽と甘い屈辱を味わわせる。藍沢に支えられ、深夜の道をゆく。藍沢の体温にさえ欲情しながらの道行きはある意味、地獄のようでもあった。 「颯太さん、月がきれいですよ」 「んっ……はぁ、あ、藍沢く、ん……っ」  もう限界が近かった。中が疼いて、早く挿れてほしい。藍沢の太いものでないと、颯太はきっともう満足できない予感があった。  エレベーターで五階まで上り、マンションの鍵を震えた手で取り出すと、藍沢がドアを開けてくれる。そのままもつれ合うようにして、ベッドルームへ向かった。 「あっ……あ……! も、これ取っ……!」 「颯太さん、可愛い」 「あい、ざ、わく……っ、願……っ、がま、っで、きな……っ」  両想いになってから、颯太は少しずつ藍沢に甘えることを覚えつつあった。藍沢がべったり甘やかすので、頼ることが不得手だった颯太が、性的なことに関しては基準が緩くなりつつある。むしろ藍沢の溺愛が過ぎるほど、身体が急激に変わってゆくのを感じる。  ベッドに仰向けに組み敷かれると、藍沢が耳元で囁いた。 「……挿入ってるとこ、手で開いて見せて」 「はぁっ……」  そんなの、できない。 「無……っ」 「無理じゃないでしょ。颯太さん、俺を誘ってください。……こんなに興奮させて、可愛い人」 「あ、あ……っ」  藍沢の手が、颯太の前に、なぞるように触れる。  颯太は甘い辱めに心が折れるのを感じた。藍沢といると、それだけで興奮して、抑えがきかなくなるのが、怖くて嬉しい。服を下半身だけ脱がされると、颯太は腰と膝を折り曲げ、指で尻の肉を拡げて、藍沢を誘った。 「これ……こ、これ、取って……っ」 「すごい、奥まで全部、見えますよ」 「んっぁっ」  羞恥を煽る言葉が颯太を熱くするのを、藍沢はよく知っている。なけなしの誇りが折れた先にある悦楽を掴むためなら、藍沢が相手なら、今なら何でもできそうだった。  ぬぷ、と音をさせて藍沢が極小のアナルプラグを抜いてゆく。挿入時にほぐすために使った大量のゼリーが糸を引き、プラグを抜き去ると、ひくひくと物欲しげに動く後孔から、尾てい骨へ向かって垂れ落ちた。 「あぁぁ……っ! すご、悦い……っ」  思わず口に出してしまって、藍沢が口角を上げる。 「そんなに好きですか?」 「ん……っ、好き、すき……、挿れて……、いれて、ほし……っ」  次第に脳が溶けてゆき、壊れたように、藍沢と快楽以外の認識がぼやける。 「俺も、颯太さんの中に挿入りたい……」  口づけを交わしながら、藍沢が切なげに眉を寄せた。男というより雄の貌になる。颯太はその瞬間が、好きだ。藍沢を最も身近に感じられる。 「きて、……隼人」 「っ……!」  その瞬間、息を詰めた藍沢は、剛直を押し付ける間もなく颯太の後孔に突き立てた。蕩けきったそこは長大なはずの藍沢のものを、健気に受け容れる。痛みはなく、心地よい圧迫感が颯太を満たしてゆく。 「あぁぁ……!」  少しだけ遊びを残して止まると、颯太は尻を拡げていた手を離し、藍沢に縋った。 「奥、して……っ、あ、あれ……っ、して、ほしい……っ」 「颯太さん、結腸、好きになりました……?」 「ん、隼人、のが、い、から……っ」 「っ……、名前、呼んでおねだりするの、ずるいです……っ」  藍沢は唇を噛んで、颯太の望みに応えはじめる。奥へはさすがに一回では挿入らないため、角度を調整してゆっくり腰を回すようにした。すると、悦い場所に当たるたびにびくびくと颯太の腹筋が反応して、藍沢を締め付けてくる。 「狭……っ、そんなに、いい? 颯太、さん……っ」 「ん、ぁ、あ! んんっ、い! いいっ……! あ、きそ、きそう……っ!」  次第に穿つような抽挿に藍沢が切り替えると、颯太は開いた脚を絡めて、それについてゆこうとした。 「あ、あっ……あ、ぁあ、あっ、あ、ああっ……あ、あ──……っ!」  ぬぷん、とその時、感触がして、最奧に藍沢の亀頭が滑り挿入った感じがした。その最も深い場所を犯されると、正気でいられなくなるのに、どうしても、あの感覚を求めてしまう。 「ぁ……ぁ、ぁ……ぁっ……!」  刹那、びくびくと身体を痙攣させ、ぎゅっと内壁が締まるのを、颯太はコントロールできなくなる。  ぞわぞわと骨が震える感触とともに、大波が颯太をさらい、洗い流してゆくようだった。 「っ……はぁっ!」  しばらくの間、白い闇を見ていた颯太が息を吹き返したように仰け反る。白濁を下腹にトロトロと垂らし続けながら、荒い息を整えることすらできない。  同時に、藍沢が息を詰めて、颯太の奧に出す。もったりと重い熱に満たされ、颯太は再び感じ入ってしまう。 「っ颯太さんの、中、締まる……っ」 「ぁ、あっ……あ? ぁゃ──……っ、うご、動かな……っ、いった、いま、いってる、からぁ……っ」  奧に嵌まった状態のまま、腰をぐにぐにと押し付けると、一度は最高潮まで達したはずの快楽が、藍沢により増幅される気がした。 「だめ、飛んじゃ……っ、あい、ざわく……っ」 「……隼人。隼人って呼んでください」 「ん、は、やと……っ、止まっ……」 「嫌です」 「ぁぅっ……!」 「颯太さん、可愛い。から、もう少し、我慢」 「む、りぃ……っ」  くしゃくしゃになった颯太の顔を睥睨した藍沢は、その頬や瞼や鼻先や額に口づけを降らせ、にんまりと笑った。 「あなたのおねだりに、付き合ったご褒美、ください」 「ぁ、ん……っ」  颯太がわからなくなるまで、そうして藍沢は緩々と、時に激しく突き上げ続けた。

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