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第90話

【番外編】努力と愛は続いていきます 主人公二人のお話です ◆ 玄関が騒がしいなとディラは思った 昼餉にはまだ時間があるような 朝陽といってもいい光が溢れる庭で ディラは日課の花の剪定をしていた 部屋に飾る花はそばに控えているオキノに渡す 買い物に出かけたキブカが戻ってきたのだろうか 「ただいま、ディラ」 綺麗に咲いた花を一本手にとって その香りを楽しもうと顔のそばに寄せた そんなディラの背後から 愛しい人の声がした 「……グリフ……?」 「ああ。長く留守にしてすまん。短いが休暇をもらえた」 「お」 「お?」 「……お、かえり……なさぃ……」 「ディラ?」 ディラは手にしたその花に顔を半分隠して 小さな声で応えた なんだか、気まずい グリフが僻地へ赴任してから初めての帰省だった 「あ、の。急……なのだな」 「すまん。報せようにも、手紙より俺が着く方が早いだろうと思って」 「そうか」 「うん」 「うむ」 「……」 グリフは戸惑っていた 一応、まあ、やっぱりさ 寂しかったーーー!!とか 逢いたかったーーー!!とか そういうの、期待するじゃん?しちゃうじゃん? 嬉しそうに走り寄ってきて 俺の胸に飛び込んでくるーみたいな、さ…… 「えーっと……」 ディラは落ち着かなさそうに目を泳がせている グリフは首の後ろに手をやって言葉を探した 「ディラ」 「は、はいっ」 「え?」 はいって、何? そんな他人行儀な返事、いまだかつて聞いたことがない 小さなことではあるけれど グリフはずどんと落ち込んだ 一年の半分近くに及ぶほどの留守だった 逢えない時間がこれほど二人の距離を広げるとは 「……あー……部屋に、行こうかな」 「あ、うむ。そうだな。長旅で疲れているだろう。ゆっくり休んでくれ」 「……うん……」 俺一人で? そう聞きそうになったけれど何とか堪えた 落ち着け 今はちょっと慣れない感じだけれど すぐに元に戻っていちゃいちゃできるさ だから、泣くな俺 少し無茶なほど急いで戻ってきたのに グリフはディラの思いがけない対応に肩を落とした とぼとぼと庭を去り 一人で自室へ向かう 「ディラ……」 家に着いたときの勢いはすっかり消え どんよりと落ち込んでいるグリフに家の者は気の毒そうな視線を送る 喧嘩とか、するんだー グリフの落ち込みぶりが若干ウザいので 部屋付の従者が湯浴みを勧めた お風呂入って汗流して、さっぱりしておいでよ! 「そうだな……」 「はい!ご用意はできてございますので」 グリフはダラダラと服を脱ぎ落としながら湯殿へ向かう 湯浴みだって、ディラとしたかったのにさ…… 日々を過ごす駐屯所で のんびりとした湯浴みなどできない ほとんど河で済ませるくらいだ だから 広くて贅沢な自宅の湯殿にのんびりと二人で それはグリフが家に戻ったらしたいことのひとつだったのに 緩慢な動作で身体を洗い たっぷりとした湯の中に沈む 「はぁ……」 それは色んなものが入り混じったため息だった 確かに疲れている 仕事は大変だし、戻ってくるのも楽ではない だけどそれよりもとにかく寂しかった ディラは……自分からこころが離れてしまったのだろうか そんなはずはないと思いながらも グリフは自分の考えにさらに落ち込んだ ディラが入ってこないだろうかと 淡い期待を抱きながらグズグズしていたけれど いい加減湯あたりしそうだったので 仕方なく部屋に戻ってゆったりとした服に着替える そのとき愛しい愛しいディラが部屋を覗いた 「あの……グリフ」 「ディラ!」 「昼餉だが」 「ああ」 「何か……食べたいものがあれば、それを……まだあまり色々作れるわけではないのだが、出来るだけ、そのように、うむ」 「そうか。材料のこともあるだろう?ディラが作ってくれるのなら、何でも嬉しい。たくさん食べたい」 「あ……うむ。そう、か」 グリフはにこにこしながらディラに近寄ったけれど ディラはするりと扉に身を隠し 目を伏せたままで距離を取った グリフは伸ばそうとした腕の引っ込みがつかず おかしな格好で立ち止まる 「ディラ、あのさ」 「できたら呼びに来るので、グリフは休んでいるといい」 「え……でも」 「すまぬが、失礼する」 さらさらした豊かな銀の髪を翻して ディラはあっという間に部屋を出て行ってしまった あとに残されたグリフの落ち込みようは さすがにかわいそうなほど 「グリフォード様。お疲れでございましょう。しばらくお休みになられては」 「しかし……」 「マディーラ様も、突然のご帰宅に驚いておられるのでございましょう。昼餉の頃にはきっと落ち着かれますよ」 「そう、だろうか」 まだ触れてもいないのだ 笑った顔さえ見ていない グリフは黙り込んでそのまま寝所へ消えた 落ち込みなど通り越して傷ついていた マディーラとのすれ違いに胸が痛い 「マディーラ様?」 「……え?」 「大丈夫でございますか?こころここにあらず、といった風情でございますね」 「あ……いや……」 ディラは厨房に立って 習ったばかりの料理を作っていた なのにぼんやりしてちっとも手が動かない その様子のおかしさに そばにいてくれるキブカが心配そうな顔をする 「いかがされましたか?グリフォード様のご帰宅に驚いていらっしゃるのですか?」 「……うむ……そう、なのだ」 「突然でございましたね。おこころのご準備が」 「グリフが、……変わっていて」 「え?」 ディラはため息とともに握っていた匙を置いた 勝手に早まる鼓動を抑えるように胸に手を当てる だけど、落ち着かない 「変わって……グリフォード様がですか?」 「……うむ。すごく」 「すごく?」 「かっこよくて」 「……はい?」 口にしてしまうと止められなかった マディーラの顔はみるみる赤くなっていく 緩く握った手を口元に当ててモジモジし始める 「あの、マディーラ様?」 「前から、元から、昔からかっこよかったけれど、久しく逢ったら、少し痩せていて、ますます精悍で」 「はあ」 「声も少し、低くなっていただろう?なんだかもう、ドキドキして、顔も見られぬのだ」 「はあ」 「やはり厳しい任務を繰り返しているからだろうか……ちょっと野性的で男くささが」 「あの、マディーラ様?」 「は、恥ずかしくって、どうしていいかわからぬっ」 うわー ただののろけかー 普通の男が同じ事をすれば口に拳を突っ込まれてもおかしくはないが 輝くほど美しいマディーラだから その恥らう姿さえ微笑ましくてかわいい 「マディーラ様。えーっと、照れておられる、のでございますね?」 「う、うむ」 「しかしグリフォード様は、少し落ち込んでおられるかと」 「え!?何故!?」 「マディーラ様との距離を感じておられるようにお見受けいたしました」 「……うむ……」 「いかがなさいますか?」 ソワソワと視線を泳がせて マディーラは思案顔だ そして結局昼餉の支度に邁進すると言った 昼餉の席で、ちゃんと言うべきことを言うのだとグッと拳を握る 「さっきはドキドキして、狼狽えてしまって、言えなかったから」 「さようでございますか。では、少し集中なさいませんと怪我の元でございます」 「うむっ」 マディーラは再度匙を持ち 気合を入れて鍋をかき混ぜ始めた 「グリフォード様」 ひどく憂鬱な気分だったけれど さすがに疲れに負けて寝台でうとうとしていた 重いまぶたを開けても 腕の中に愛しい人はいない グリフォードは深いため息をついた 「……なんだ」 「昼餉のご用意ができました。いかがなさいますか」 「……」 呼びにさえ来てくれないのか 愛が冷めてしまったのか それならばいっそ任地へこのまま戻ろうか 投げやりな気分で身体を起こして グリフは不機嫌さを隠さず唸った 「食うよ。腹は空いている」 「は……マディーラ様の、お手料理です。満腹でも」 「いい。気を使うな」 情けない 確かに長い留守ではあったけれど その程度でこころを離してしまうなど本当に情けない グリフは自分の至らなさに嫌気が差した それでも、一緒にいたいと願ってしまう 「……すまんな。留守中も世話をかけているのに、帰ってきてはこの有様で」 「いいえ。本当に、よくお戻りくださいました。みな、喜んでおります」 「ありがとう」 大丈夫だ 一緒に食事をして 目を見ればわかりあえる グリフは気を取り直して食堂へ向かった 「……ディラは」 「は……その、なんと申しましょうか」 「どこだ。厨房か」 「グリフォード様、お待ちください。マディーラ様はすぐに来られます。少し緊張しておいでなのです」 「緊張?キブカ、俺にはわからない」 「グリフォード様っ」 昼餉はグリフの分しか用意されていなかった そんな食卓につけるはずがない さすがに憤りを感じて グリフはキブカが止めるのも振り切って厨房へ向かった ディラは入ってきたグリフに驚いて 慌てて髪を結わえていた紐を外して手ぐしで直している グリフはツカツカと歩み寄った 「ディラ。俺と食事はしないのか」 「いや、しないわけでは、なく、その」 「しかし俺の分しか用意されていない。どういうわけか」 「そう、あの」 「……気持ちが、変わったのならそう言ってくれ」 「まさか!」 紫の綺麗な目を見開いて ディラは即座に否やを唱えた それでもグリフの気持ちは晴れない 離れても変わらないと疑わなかった それは、間違いだったのか 「あの、グリフ」 「ディラは俺の方をまともに見てくれない。距離を取る。それは」 「すまぬ。私が、取り乱して」 「ディラ……」 確かに取り乱している様子だ 意味もなく手を動かして視線を彷徨わせている グリフはもうなんと言えばいいのかわからず黙ってしまった ディラは何度も深呼吸を繰り返すと ようやくキッとグリフォードを見た なぜか人差し指をピシリと立てながら 「グリフっ」 「……なんだ」 「お」 「おかえりなさい、か」 「お風呂にする?ごはんにする?それとも、わ・た・し?」 …… ………… え、なに!?なにが起こったの!? グリフは状況が読めずに固まった ディラは立てた人差し指をそのままに やり切ったような顔でふうーっと息を吐いた 「ディ」 「……すまぬ。まずこれを言って出迎えるはずだったのに……突然のことで失念を」 「いや、いやいやいや」 ふ……私としたことが…… そういう無念そうな表情でディラは眉根を寄せる いやもう、ぜんっぜんわかんないっ ほんとについていけないっ 「今更言ったところで、食事に決まっているし」 「ま、待って、ディラ、ちょっと待とうか。よーし、待とう。うん」 「うむ」 ……ダメだ 頭真っ白ですすみません 何なの!? とりあえず、グリフはみるみるうちに真っ赤になって唸った ディラは反対に落ち着きを取り戻したようだ 大役を果たした人差し指を仕舞ってはにかんでいる 「夫婦で離れて暮らしている方に、教えていただいた」 「え?あ、ああ、そう、なの?」 「うむ。お連れ合いが久々に帰宅した場合の常套句であると。食事と風呂と自分に餓えているはずなので、そのいずれがいいのかを尋ねることで、滞りなく帰宅後の段取りが」 「いや……違うような気が……」 「違うのか」 「いや、まあ、餓えてはいるが」 「やはり、久々であればその時々の気持ちを確認せねばな」 ディラはもう一度綺麗な人差し指を立てて ピ・ピ・ピと動かしている 「わ・た・し?」に合わせるらしい ……ってそんなことまで奥方連中は教えあうのか 「すまぬ、グリフ。私の妻としてのこころ構えが至らず」 「いや、全然。全然大丈夫だ。全く問題ない」 「色々と、教わったのであるが……やはり実行するのは容易ではないな」 「えーっと?ちなみに、他には」 「追い追い、披露する」 「そうか」 「グリフ」 「ん?」 さっきまでの不安や憤りは消えてしまった ディラの気持ちも考えずに強く出たことを後悔する ディラは気がかりだったことがなくなって ようやく華やかに微笑んだ グリフはその笑顔に見惚れる 「……すまぬ。緊張してしまった。気分を害しただろうか」 「キブカにも言われた。どうして?俺が怖いか?」 「そうじゃなくて、その……かっこよくて」 「ふぇ?」 ディラは首筋まで赤くして するりと視線を外して悩ましげに息をつく かっこいい?俺?そうか?? グリフはやはり理解できずに首をかしげた 「ああ……服か?ディラはあまり陸軍の軍服を見る機会がないから」 着て帰ってきたのは陸軍の官給品だった 首都警護部隊は民間人の目につきやすいので割と洗練された軍服だけれど 陸軍のは戦闘時の実用性を追求したものだ 数年前にズボンが細身になったのは カラウ将軍の趣味らしい 制服効果ってやつ? グリフもディラが前掛けをしているのを見ると ちょっとあらぬ方向へ昂ぶるしね ディラはモジモジしている 「服装などではなく、グリフがすごく、逞しいというか精悍というか……声も少し違うし、痩せただろうか」 「ああ。痩せたことは痩せたな。声か?わからんが……よく怒鳴っているから」 「そういうのが、全部、その……かっこいいから」 「……そうか」 「すまぬ」 ディラは頬に手をやってぷくぷくと唇を動かしている その手にはグリフの贈った指輪が光っていて 何故ディラの気持ちを疑うなどとバカなことをしたのかと グリフは申し訳ない気持ちでいっぱいになった 「食事は」 「グリフが気になりすぎて、一緒に食事などできそうもなくて……」 「逢いたかった」 グリフはようやくディラを抱きしめた 愛しい愛しいと背中を撫でる ディラもようやくグリフに身体を預けてくれる 「愛してる、グリフ……私も、逢いたくてたまらなかった」 「さっきの、返事だが」 「うむ?」 「ディラだな。先に、いただく。いいか?」 グリフはディラの腕を両方掴んで 愛しい人の顔を覗き込むようにして問いかける ディラは紫の目を潤ませてコクリと頷いた 「……うむ。そうしてくれ。私も、落ち着かぬ」 「え?」 「ちゃんと、グリフを確かめたい……見違えるほど男前が上がったけれど、間違いなく私の夫だと」 「そうか」 グリフがディラを抱き上げると ディラは腕の中からぽーっとなりながらグリフを見上げている 軽く感じるのは彼が痩せたからなのか自分が逞しくなったからなのか 「俺も、確かめたい」 「うむ」 「愛してる、ディラ……俺が、好きか?」 「うむ。目にしただけで、逆上せてしまうほどかっこいいグリフが好きだ」 「たいした変化でもないのに、そうやって見つけてくれるディラが、俺も好きだ」 「……よそで、艶っぽいことがあっての変化ではあるまいな」 「艶っぽいこと。例えば」 「私とするようなことだ」 「ディラと、どんなことをしていたかな」 グリフが意味深な笑みを浮べると ディラは急いで首にしがみついて唇を押し付けた 久々の口づけは頭が痺れるほど甘い 「……思い出しただろうか?」 「ああ。続きをしよう」 「うむ」 「せっかくの昼餉が冷めてしまうな……すまん」 「グリフの気持ちが冷めるよりはずっといい」 「何があっても冷めたりしないが、堪えるのは難しい」 「そうか。さっき厨房に入ってきたグリフは……」 「ああ……すまん。怖かったか」 「かっこよかった……あれだな……胸きゅんきゅんだ」 「ディラは本当に、色々覚えるのが早いな」 グリフはディラの重みを心地よく思いながら 大股で厨房を後にする 首元に擦り寄ってくるディラに口づけを落として 何度も愛しているよと繰り返す 「やはり、私のしくじりだ」 「ん?ディラは何も悪くないよ」 「いや……きちんと習ったとおり、グリフが帰ってきたときに「お風呂にする?ごはんにする?それともわ・た・し?」と聞いていれば、すべて順調に進んだはず。ん?待て……ごはん?が先か……いや、お風呂?だな」 「……そう、かな」 「そうだ。まずグリフが先に湯浴みを、と言い」 「言わない」 「え?」 部屋の扉は嬉しそうな従者が開けてくれた 夫婦が仲睦まじいのがやはり一番なのだろう グリフもでれんとした笑顔で頷き わき目も振らず一直線に寝所へ突入した 「ディラ……俺のいない間も、いろいろと励んでくれているのだな」 「当然だ。グリフにはグリフの仕事があり、私には私の役目がある」 「先ほどの、三択だが」 「うむっ」 「俺が選ぶのはディラだ。それはいつも変わらない。だから、そのつもりで」 「しかし、空腹のときもあるのではないか」 「餓えて死んでも、ディラがいい」 「それでは私が困る」 「答は決まっているが、ぜひ毎回聞いて欲しい。聞き方に、ちょっとお願いが」 寝台に横たわらせたディラに圧し掛かって グリフはディラの服を剥ぎ取っていく あらわになる肌に口づけを落とすと ディラがグリフの服を掴む 懐かしい肌はすうっと桃色に染まっていく 「お願い……?」 「そう。「お食事ですか?お風呂ですか?」のあとだ」 「ん……っ!は……何……少し、違うぞ、グリフ」 「まず俺に抱きついて、密着して」 「え?それでは、人差し指が」 「ああ……そうだな。あの指の動きは、俺たちの間ではナシにしよう」 「うむ。承知した」 「その代わり、俺の首に腕を回して、耳に息を吹きかけて」 「……うむ?」 「囁いてくれ。「それとも……わ・た・し……?」だ。いいだろうか?あくまで、囁いてくれ。最後にちょっと艶かしい吐息が欲しい」 「……難しい……相当練習が要ると」 「あとでゆっくり練習しよう」 「あ、あんっ」 今はディラを愛したい グリフがそう囁くと ディラはなるほど、囁かれると、ドキドキするなとトロリとした顔で呟いた 「俺は、風呂だってディラと一緒がよかった」 「すまぬ」 「食事もだよ」 「うむ」 しっかりたっぷり愛を注いで 空腹の二人の元には昼餉のような夕餉のような食事が届いた 冷めてしまったディラの手料理は 料理人によって温め直され グリフは美味しい美味しいと平らげた お世辞でもなく実際にディラの料理は格段にうまくなっていた 腹ごなしにもう一戦 二人は寝台の上でいかに相手を愛しているか 身体で証明しあい、ひとまず満足を得て お互いを腕に抱いて寄り添っていた グリフは低く甘い声で 帰って来た時少し寂しかったとディラに話していた 「抜かりはない。グリフは私をと答えると言うが」 「ん?」 「グリフが、では食事をと言えば、ちゃんと私が用意して、食べさせてあげるのだ」 ディラは小鼻を膨らませてやる気を見せる かわいいなぁ、俺の嫁…… グリフはデレデレしながら彼の髪を撫でる 「そうか。はい、あーん、だな?」 「うむ。あれはした事があるので、うまくできるだろう」 「そうだな。では、湯浴みを選べばどうなるのか?」 脱がせてくれたりして グリフはディラに服を剥ぎ取られるのを想像して股間を膨らませた たまらーんっ 「洗ってあげる」 「……ぅえ?」 「私がグリフの髪も身体も、全部洗ってあげるのだ。知っているか?そういう時は、お背中お流ししますと」 「ぜっ、全裸で!?ディラ、全裸で!?」 ディラは時としてグリフの妄想を軽く超えていく 服を脱がされるのを想像しただけでチンコが大きくなったのに 身体を、ぜ、全身をっ 泡のついた手で撫でられて甚振られて追い詰められるなどっっ ディラはそんな恐ろしく魅惑的な行為を 全裸で行うと言うのだろうか!? しかしそんなグリフの浅慮も ディラは軽々と飛び越えて言った 「頂き物の薄い衣があって、それを着て湯殿へ。どうせ濡れてしまうと思うのだが、なんでもそれがいいと」 「よし、風呂だっ」 「え!?」 グリフはマディーラを抱えて寝台から飛び降りた 足音高く湯殿へ向かう まさかの禁断の着衣泡プレイだなんてっ そんなけしからん事は今すぐやらねばっ 「グリフ?待ってくれ、何故」 「練習しよう。誰か、ディラの素敵なスケスケの薄衣をっ」 「グリフ……疲れているのに、練習に付き合ってくれるのか」 「そうだよ、ディラ。練習練習」 「うむっ」 あいにくすでに裸だったので ディラに一枚一枚脱がせて貰うのは諦めたけれど 程なく届いたディラの秘蔵の薄衣は本当に薄く 彼によく似合う純白だった グリフは鼻息荒くディラにそれを着せて 陸軍仕込みのどスケベ丸出しで湯場へ誘う ディラは少し待ってと言い 豊かな銀の髪を頭の上に結い上げた 広い袖口からチラチラと二の腕や腋の下が見える 合わせをきっちり引き寄せて 帯をきっちりと巻いたので ディラの身体の線にピタリと沿う薄衣は すでにうっすらとその裸体を写している 「では、ディラ。よろしくお願いします」 「うむっ」 小さな椅子に腰を降ろしたグリフは 恥ずかしげもなく股間のものを勃ちあげて それを隠すこともなく広げた膝に拳を置き 背筋を伸ばしてめくるめく淫媚なひと時を待ち構えた 鼻の下をびろーんと伸ばしている そんなグリフの前にディラは膝をついた 少し床が濡れていたらしく じわりと衣が水を吸い ディラの膝のほの赤い色が透ける 「やはり少し痩せた。腕は太くなっただろうか」 「ん……そうかな」 ディラはするするとグリフの肌を指先で辿る グリフはピクンピクンとチンコと身体を震わせる ぐはっ じ、焦らしプレイとか……っ! ディラったらテクニシャン……っ! 小さな手桶に湯を汲むと ディラはそれを慎重に持ち上げて身体を伸ばし そろそろとグリフの肩から流し掛けた 湯はディラの腕を伝い あっという間に薄い衣を濡らす んおお! ぷちりと立ち上がる小さな乳首が片方透けたっ 床に流れた湯を衣が吸い上げて か、かは、下半身もだんだんと……っ!! 「ではグリフ、お背中」 「ディラーーー!!!」 それを見ただけでグリフは野獣と化し その場でマディーラを貪ってしまい 練習などその形さえも行えなかった

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