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暴露④

「何があったか知らないけど徹平先輩とはもう別れてるんだよね?なら今の気持ちを優先させてもいいんじゃない?」 「付き合ってはいなかったんだ、先輩とは……告白してフラれたから」 「そうなの!?…そんな風には見えなかったな〜、だって徹平先輩はシノを探して会いに来たわけだし…」 「優しい人だから」 「ふーん…まあ、そこらへんは徹平先輩としっかり話し合わなきゃね。そんで雅貴のことも考えてあげて」 「“考える”って…なにを?」 考えることなんてない。だって湯田は女の子が好きで……俺のことは対象外なのだから。 「それ本気?」 バカなところが可愛いけど、時に残酷だね、と言った矢沼の言葉に小さく笑う。 それでも 「この気持ちを今度こそ大切にしたい」 バカだけどバカなりに考えたい。 俺の想いを言ってしまえば、きっと変わってしまう。 俺の言葉で崩れてしまう関係なら、俺は崩れないように守りたい。 そのために、伝えないことが最善だと言うのなら、俺はこの想いを自分の中で閉じ込めておこうと、思うんだ。

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