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意味⑤

先生が見回りにくるために、部屋のドアは鍵がかからない作りになっている。 だから、みんなせっせとお菓子を隠して寝る準備を始めていた。 うとうと。ふわふわ。 瀬谷も先生にバレないように布団を頭からかぶり、俺へしがみつく。ひっつき虫か。 俺も瀬谷が先生に怒られないようバレない為に、ぎゅっと瀬谷にくっついて俺しかベッドにいませんよ〜って状態にした。 しかし、やってきたのは先生ではなくて。 「シノいる?」 ドアを開けた赤茶のエスパーがひょこっと顔を覗かせた。 「湯田かよ……驚かすなよ…篠川なら…あーちょっと待って!連れてくから外で待ってて」 タカちゃんがホッと息を吐くのも束の間、なにか慌てたように湯田を追い返そうと試みるが、湯田が簡単に言うことを聞くはずもない。 「なんで?」 「篠川、眠そうだからさ…俺らで起こしてから湯田のところ向かわせ………ああぁ!!人の話を最後まで聞けよ!」 目元までかぶった布団を、ひらりと捲られた。

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