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平行⑨
そんな巳継は手を振る徹平に小さく笑うと前を向き歩き出した。
その後ろ姿をじっと見つめて右手で頭を掻き軽く溜め息を吐く。
瞳を閉じて思い出す。あの日の告白を。
"今まで巳継のこと後輩としか見たことがなかった"
そこまで言うとお前は泣きそうな顔で笑って一礼して、走って逃げてしまったけれど。
"だから整理がつかないけど、
多分きっと
俺は巳継を特別だと思うんだ"
今さら、進んだお前にそんな気持ちは言わないがな。
すっと瞼に映った過去の背中を掻き消すように瞳をゆっくり開いて、もう姿のない後輩に「諦められなかったのは俺の方か」とぼやく。
でもそれは、ただの独り言で終わるのだ。
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