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耽溺⑪

古典の先生が教室に入ってきて「席につけよ」という声も聞かないままに俺は眠りに落ちる。 他のクラスメイトの茶化す声も聞こえたが、眠気には勝てず体重すべてを湯田に預けた。 古典の先生も溜め息はついていたが、みんなスマホはいじるは話すはで自由に過ごしているので俺達を傍観するだけ。 カクッと俺の肩に頭が乗ってきたが、それは湯田も眠りに入った合図で規則正しい寝息が聞こえて、より安心感を覚えた。 湯田の髪、少しプールの匂いする… 今だけでも…こうして…。 「二人とも幸せそうな寝顔…♪」 ふふ、と頬杖ついて見つめる矢沼だけは、とても機嫌が良さそうで。 にんまりと羨望に満ち足りた眼差しを俺達に向けていた。

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