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遊戯②
ーーー…。
遅刻覚悟で走れ。
頭へ酸素が回ってないんだろうなってくらいに走り続け、赤信号で息を整える。
低血圧だとか今はどうでもいい、くらくらする頭を振り額から流れる汗を手で拭って、青信号になればまた走ってを繰り返した。
そろそろ待ち合わせ場所だ…
待ち合わせ場所である駅前を見ると爽やかな顔で手を振る、俺が一番に会いたかった十葉くんがいた。
「あ、シノくんだ!久しぶりー!!」
わあ…まぶし…
こちとら気づくの遅れて若干遅刻しそうになって全速力で走って来たので汗だくだ。あーあちー。
「十葉くん…!」
パタパタと手をうちわにして扇ぎながら十葉くんに近づけば、あちらも手を広げて迎え入れてくれようとしている。
矢沼のお許しを得て獲得した逢瀬だもんな…
「シ…シノくんーっ!!……ふごっ」
「ちょっと待ちやがれ、浮気者~」
手を広げていたことにより十葉くんのお腹は無防備な状態になっており矢沼の拳がクリティカルヒットしていた
…が、
俺は止まらないぜ、おらおらおらー!!
バフッ
「ん、ふ…」
「何やってんだ、蓮にぶっ殺されるぞ」
湯田の胸にダイブしちまったぜ。失敗。
全速力で止まる気がなかった俺は勢いで攻めて湯田に捕まり、十葉くんは殴られて蹲ってじっと湯田を睨んでいた。
「くっ…邪魔しやがって…俺とシノくんとの二人だけの世界ができあがってたくらいに嬉しさマックスだったのに台無し……いひゃいいひゃい」
「バカなの?作るなそんな世界」
ほっぺた、つねられて涙目だ、十葉くん。かわいい。
「ふふっ。俺も十葉くんに会えて嬉しいよ」
「そういうの、ほかに言うヤツいないわけ?」
「"ほか"?……ん、」
「俺はシノに会えて嬉しい」
うん、それはわかった。わかったけども。
こんな公の場でキスするなよ、おでこだとしても!!!!
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