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相似④

もうすぐ5月になるとはいえ、風が肌寒い。 でも透き通るような風のにおいが俺は好きだ。 「…っくしゅん」 ちょっと寒いけどな。 「シノ半袖半ズボンとか元気だね〜ジャージは?」 上下ジャージで華奢なせいか、だぼんと着こなす矢沼が可愛く首を傾げた。 「教室忘れた」 だって急かされたんだもん。 俺がもたもたしてたのが悪いんだけど。 でも走れば暑くなると信じて俺は半袖半ズボンを貫くぜ。 「バカシノ」 「うっさい!足踏むぞ、おらっ」 湯田が人の顔も見ずに淡々と呟くから、むかついて足を踏もうと試みた。 しかしスッと難無く躱されてしまい俺が踏んだのは運動場の土だ。避けたな、悪魔め。 マイペースに運動場に集合し簡単な説明を受けたあと、俺達は50m走やハンドボール投げを行い始めた。

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