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相似⑥
俺の華麗なハンドボール投げを見て矢沼は笑っていたけど、矢沼も飛んでなかったのでお互い様だ。
湯田も結構飛ばしてたけど、高城…タカちゃんが凄すぎた。
ボールにオーラが見えるんじゃないかって勢いで飛ばしてた。すげー、俺もあれくらい飛ばしたいな、あんなに飛んだら気持ちよさそう。
50m走をする場所まで移動するときに俺は高城に近寄った。
ちょんちょん、と肩をつつくと振り向き際に驚かれた。
さっき初めて話したばっかだもんな、仕方ない。
「タカちゃん、ハンドボール投げすごい飛んでたな!」
「…タカ、ちゃん??」
「高城だからタカちゃん!さっき矢沼も呼んでた!タカちゃんって呼んでもいい?俺は篠川巳継」
「いいよ。…俺は篠川って呼ばせてもらうな」
にこりと穏やかに笑った高城を誰かと重ねてしまったのは秘密。
「おう。よろしくなー俺も来年にはタカちゃんくらいボール飛ばしたいなー」
「…まずは前へ飛ばそうな、篠川」
くそぅ、先生と同じこと言いやがって…!!
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