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相似⑦
まぁタカちゃんは友達だからな、許してやる。
「50m走、一緒に走らね?」
高城を見上げて、へらりと笑ってみせた。
50m走は二人一組で走る。
たぶん、きっと絶対、矢沼と湯田はペアになるから高城に声をかけた。
「え、俺?……あぁー」
俺を見たあとに高城は後ろにいるはずの湯田と矢沼をチラッと見た。
ね?タカちゃんも分かるだろ?
あの二人は相思相愛なんだって、羨ましいぜ、くそぅ。
50m走のスタートラインまでやってきて、準備できたヤツから適当に走っていく。
タイムは先生が測ってくれて言われたタイムを自分で紙に書いていく。
「シノ〜僕と走ろ〜?」
「湯田は?」
「断られた」
ツンデレ湯田め。矢沼泣かせたら頭にダンゴムシ投げてやるんだからな。
「ゆーた」
「なに?」
「矢沼と走ればいいだろツンデレが」
「嫌だ、アイツ遅すぎて本気で走れない」
同じくらいの速さのヤツと走ったほうがタイム上がるっていうもんな、一理あるか。
「でも」
「?」
「シノとなら走ってやってもいい」
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