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相似⑨

「よーい……どんっ」 クラスメイトの掛け声で俺たちは走り出した。 吹き抜ける風がきもちいい。 けど風の抵抗力が邪魔をして足が重い気がする。 そんな俺を追い抜いていく高城は風の抵抗を感じる俺とは違い、風に乗って走るようだった。 …あぁ、あの人もきっとこんな気持ちを抱えてたりしたのかな。 「…っ」 気持ちを共有できたような気がして、少し嬉しく思う。 走り終わると、ちらりと俺を見た高城が「思ってたより速いな、篠川」と笑う。 「ありがと。タカちゃんの走りは見惚れたぞ、かっこいいな…」 俺もあんな風に走ってみたい。 そうしたなら、もっともっと近付けるような気がするんだ。錯覚だとしてもね。 その後、走り終えた湯田が地面に座って、矢沼の走りを見ていた。 そっか、湯田と矢沼は違うヤツと組んだんだもんな。 矢沼は半分くらいで息切れしていてゴールした途端、倒れ込んだ。 「はぁ…はぁ…ひぃ〜無理、明日筋肉痛だ、絶対〜」 ぜぇぜぇ言っている矢沼を見て、湯田は「相変わらず遅いな」と呟いていた。

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