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相似⑪
先生と教室をチラチラ交互に見てジャージ取りに行こうか迷っていると、ふわりと後ろから何か羽織られた。
「ふお…?」
なんだなんだ?
ビックリして肩がビクリと震えたが、知っている匂いに安心して大人しくじっとしてみる。
背中に体重を感じて振り向けば、そこには湯田がいた。
「…湯田だ」
「寒いんだろ?着てろ」
あ、ジャージ貸してくれたのか。
俺の背中にまた体重乗せてきてるけれど、ジャージ貸してもらった身としては何も言えない。くそぅ、ぶかいんだけどこれ、ムカツクな。
「お前は寒くないん?」
「走ったから暑い」
ふーん、そっかそっか。なら貸してもらおーと。湯田の返事を聞くと「ありがとー」と言ってジャージのチャックをしめた。
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