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彼女⑧

次の授業のチャイムが鳴り始めても矢沼は帰ってこなかった。 その代わり、入れ替わるように湯田がやってきた。 先生からは「休むのかと思ったぞ」と笑いながら叱られてる。 湯田は無表情だと怖い…身長が高いこともあり、威圧的に見える、らしい。他のヤツが言ってた。 「おはよ、湯田」 隣の席までやってきた湯田に小声で挨拶する。俺を見た湯田の目元が僅かに柔らかくなる…気がする。だから、俺は湯田を怖いとは思わない。 低い声出してるときは怖いけどな! なんて思っていたら、そのまま優しい瞳が近付いてきて ふにっ、とオデコに湯田の唇が当たった。 避けたかったけれど後頭部に湯田の右手が添えられて動けなかった。 「おはよシノ」 …おはようじゃねぇよ!!!!

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