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逃げられない①

矢沼が帰ってきたのは4時限目が終わって昼休みに入った頃であった。 何かあったのかとヒヤヒヤしていたが、本人は満面の笑顔で帰ってきたから拍子抜けした。 心配して損したし… 「ただいま〜……って雅貴!!やっぱあの後学校来たんだ!!シノに電話してもらって正解だったね〜」 えへへっと湯田に抱きつく。 呼び出される前よりも矢沼の周りには花が見える、ご機嫌?かわいい、妖精って感じ? 「…電話かけたら湯田機嫌悪くてすっげぇ怖いし、言葉詰まったんだからな?」 と、文句だけは言ってみる。 「シノからだって分かってたら怒らない」 真顔で言われたって怖いものは怖いから、湯田。 「…ったく。矢沼のノートがなかったら俺、電話切ってるから」 「ノート?」 「わっ!わわわっ!!シノ!それは企業秘密でしょ!?シーッ!」 人差し指を口元に当てて焦る矢沼。 なんの企業だよ。

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