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逃げられない⑫

「巳継、俺と来い」 「シノ」 先輩を選ぶか、湯田を選ぶか… そんなの…選びたくもないんだけど。 「…もう帰りたい」 「「それは却下」」 ですよねー… 絶対にどちらかを選べと催促する二人に困ったように笑うと、そんな様子を見て“男子校の花”が声を出して笑った。 「あははははっ、シノ三つ巴じゃん(笑)」 なんだよ、三つ巴って… 俺バカだから言葉選んでほしいな、矢沼。 矢沼を睨みつけたが、ふわりと笑う矢沼にキュンとしてしまった。…くそぅ、可愛いから許す。 「まぁ〜シノだって急に選べないよね〜だからね、僕いいこと思い付いちゃった」 ぴこんっと豆電球を飛ばして何かを閃いたと言いたげな顔の矢沼は人差し指を立てて不敵に笑っていた。

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