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逃げられない⑪

「先輩……湯田……あの、」 ここ、校門前だってこと忘れてないかな…みんなに見られてるし。また先輩といたら…先輩に迷惑かかってしまう。 だけど俺の声が小さすぎて二人に聞こえていない。 「えと…あの……うおっ」 ふいに湯田の腕の中に引き込まれて、変な声が出た。 「せ・ん・ぱ・い?俺らは勉強しに行くのでシノは返してもらいます」 力強いな、湯田… 女の子にそれやったらイチコロだ…苦しいけどな。 「んんっ、湯田…っ、あの…うあっ」 次は先輩に手を握られて変な声が出た。 「全っ然、敬ってねぇだろ?腹立つヤツだな……あとな、巳継は俺と話があるから渡せない、わりぃな諦めろ」 口角上げて声も明るめだから怒ってるように見えないけど、目が怒ってる。 なんだなんだ、この状況… あの頃の俺が先輩にこんなことされたら照れて情けないことになってると思う。

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