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逃げられない⑩
間近に迫る先輩の顔なんて、もう見られなくって俯くけどなんか…なんか…泣いてしまいそうだ…
目を強く瞑ると涙が睫毛にのるだけで頬に伝うことはなかった。
そんな時に腕を掴まれた力が弱まった気がして、ゆっくりと目を開けた。
「あんた、誰?シノから手ぇ離せ」
目をあけると、先輩の肩を掴む湯田がドスの効いた声で先輩を威圧していた。
湯田…
「…お前こそ誰なわけ?巳継の友達なら俺の後輩だと思うんだけど。言葉遣い……改めろよ」
だけど先輩も湯田のオーラに負けず言い返していた。
な、なんか…互いの目から火花散ってるように見えるんだけど…?
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