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どうしてこうなった⑦

また、こんな風に話すことができるのなら… 「先輩は…どうして……」 「巳継?」 あの時、俺の想いに応えてくれなかったんだろう。 …っ、傲慢だな俺、バカか。 「…男前ですよね、徹平先輩」 「ははっ、どうした急に。そんなこと言うのお前くらいだぞ?」 あぁ…なんだこれ。 これが“気持ちが揺らぐ”ってやつなのかな。 ―――ふに。 俯いていると前方から手が伸びてきて、俺の頬を湯田につねられた。 「…ふぁに(なに)?」 「ここ、分かんない、教えて」 とんとん、ともう片方の手が問題集を指差していてのぞき込んで教える。 教えると簡単にその問題を解いていく湯田に、軽く笑う。 「ふっ、分かってんじゃん湯田」 「…」 「なに、ゆーた?」 「…べつに」 何か言いたげに見つめてきたくせに、ふいっと視線を外されて首を傾げる。 …教え方、ヘタだったかな…

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