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急展開①
日が沈み辺りが暗くなってきた頃、俺達はファミレスを出た。
矢沼は徹平先輩が気に入ったらしく、質問攻めしていてなかなか勉強が進まなかった。
でも、おかげで先輩と話さなくてすんで助かった。
「巳継、また会おう」
「徹平先輩…俺、」
―――今度こそ逃げずに先輩と向き合いたい…。
言葉を紡ごうとした時、肌寒い風がひゅっと吹いたと同時にこちらを呼ぶ声が聞こえた。
「あっれー、お前、篠川じゃね?」
聞き覚えのある声に体中が凍りつく。
先輩と校門で出会ったときとはまた違う焦燥感に俺は、ゆっくりとそちらへ顔を向けた。
あぁ……吐き気がする。
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