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狼狽③

あれから数日。どうしたって湯田とは学校で会うわけで……それなのに何も変わらず普通に過ごしてることが、どうしようもなく怖い。 6時間目に先生から宿泊研修のプリントを配られた。グループは出席番号順。 それに対して「自由がいいでーす!」と大声で主張するクラスメイトに対し「来年の修学旅行ではグループ自由なんだから我慢しろ」と言った先生に小さく笑った。 あぁーあ、矢沼とも湯田とも離れちゃったし。…いや、そのほうが良かった…のかな。 ちらりと隣の席を盗み見れば、そいつも俺を見ていたのか目が合った。 うっ………なんか、気まずい。 ぷいっと目を逸らすと、珍しく声を出してくすくす笑う湯田の声が聞こえて眉間に皺が寄る。 「……っ、なにが可笑しいんだよ」 「くくっ…いや、意識してくれてんだなって」 意味分かんね。

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