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狼狽②

その声に俺も思考を停止させて、矢沼を見れば俺に優しく微笑みかけて、身長の高い湯田の頭をバシンッと叩いた。 「元はといえば雅貴があんなことするから、シノが固まっちゃってるんだぞ〜、謝ったら?」 「……」 「雅貴〜?」 「嫌だ」 湯田の返事にキラキラ笑顔だけど低い声で矢沼が「は?」って言ったのに、俺は目を見開いた。 それでも「謝らない」と、ふんっとそっぽ向いた湯田はそんな怖い矢沼も慣れているようだった。 それを見て曲げないのだと判断した矢沼は、はぁ…と溜息を吐いて、次は先輩へ向き直った。 「すみません徹平先輩…シノと色々と話したかったはずなのに邪魔しちゃったし、雅貴のせいで事がややこしくなっちゃいましたよね…」 「いや……どっちにしても俺は巳継を…守れなかったと思う」 「徹平先輩…僕もシノには聞きたいことあるし、それ以上に先輩がたくさん話したいと思うんだけど……多分今日のシノじゃ……ダメだと思うから…今日は帰りましょう…?」 眉を下げて懇願する矢沼に先輩も折れたのか「わかった」と返した。 そして俺へ「連絡するから。連絡先、今度は消すなよ」と頭を撫でて、先輩は帰っていった。

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