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狼狽①
あの日のことは、深く湯田に聞けてない。
元クラスメイト達が去っていったあとも、俺は頭が真っ白で……なにをされたかは頭で理解できても、どうしてそうなったのかが理解できなくて。
ただ唇がまだ熱くて……。
湯田の顔が見られなくって……。
そんな状態で、先輩に色々と言われたってなかなか頭に入ってこなかった。
「あいつらは何?」「中学でもあんなだったのか」「だから学校辞めたのか」と質問責めされた。
先輩は多分…噂のことしか知らない。
いや、噂も俺が上書きしたから…どこまでの噂を知ってるのか分からないけど。
ただ俺が先輩を好きで、先輩は違うってことが周りに分かればいいなって、あの頃は思ったんだ。
先輩の質問に答えられない俺に
矢沼が「ストーップ」と制してくれた。
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