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急展開⑤
肩へ回った腕の重みが消えた。
それに気付いたときには左頬と唇に温かさを感じていた。
元クラスメイト達が唖然としてこちらを見ている。
俺もどういう状況なのか理解できない。
けれど俺、今、左頬に右手を添えられて上へ向かされて…湯田にキスされてる……。
「んんっ…ふぅぁっ」
好き勝手に唇の感触を堪能すると湯田は、何事もなかったように唇を離し、俺の腰を引き寄せた。
「汚い手で触るな。あと、シノとはこういう関係だから。ご忠告どうも」
“2人も気を付けろよ”と湯田と矢沼へ向けられた言葉を思い出した。
…というか“こういう関係”ってなに?
湯田の堂々っぷりを見て苦笑いして何か言いながらも去っていった元クラスメイトなんて、今はどうでもいい。
俺………
ファーストキスだったんですけど!?!?
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