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ある晴れた休日。 今日も先輩に家に呼ばれていて、俺は約束の時間を待ちきれずに電車に乗った。 つい先日中出ししたときに、先輩が自分が女だったら…なんて言い出した。 俺は今のそのままの先輩が大好きなのに。 って、まぁ、そりゃ先輩との子ども(さず)かれたらなぁなんて、想像したことないわけじゃないけど。 でも女なんて、中学生で初めてセックスしたあのときから抱いた記憶がない。 思えば俺の恋愛経験って随分人とは違うよなぁ…。 そもそも俺って、今更女に勃つのか? 先輩がもし女だったとして、俺は女の先輩を見て勃つのかってところが問題だ。 だって勃たなきゃ入らないし、出るもんも出ないだろ。 「無理……だなぁ。」 同僚一の美人に迫られても、夜の街のエロい女に迫られても、あざといアイドルみたいな可愛い子に迫られても、俺勃ったことねぇもんな……。 先輩だったらすぐに反応すんのに。 先輩がどんなに可愛い女になったって、俺が欲情することはないだろうと、この時はそう思っていた。 まぁこんなの、ただの妄想というか、あり得ない話なんだけど。 男が女になるなんて、そんなバカな話あるわけない。 先輩の家の最寄駅に着き、改札を通る。 そろそろ先輩ん家と俺ん家の最寄駅間の定期券買ってもいいかも、なんて思いながら。 『もうすぐ着きます。鍵、開けててくださいね。』 そうメールしてスマホをポケットに入れる。 もう駅から家までのこの道も、数十回は歩いてる。 見慣れた景色でも、今から先輩と会うって事実だけで、俺の見る世界はキラキラと輝いて見えるのが不思議だ。 マンションに着き、スマホを確認する。 先輩からの返事はまだなくて、何故か電話も繋がらない。 他の住人が出てきた隙を見てエントランスに入り、エレベーターに乗り込む。 先輩の部屋がある階に着いてエレベーターから降りると、ドンっと割と身長の高い女性とぶつかった。 「わっ!」 「すみません。お怪我は…?」 「…っ!!!」 女性は俺を見てびっくりした顔して、逃げるようにエレベーターに乗り込んで行ってしまった。 いやいやいや……。 あの胸の崩れ方と柔らかさ、絶対ノーブラだし。 あんな格好で外出る気? 相手が俺だから良かったものの、普通の男だったら連れ込んでもおかしくないぞ。 普通に美人だったし。 ……………って、ん? 「今の………」 どう見ても女性だったけど、何となく違和感があった。 いや、まさか……。 俺は急いで先輩の部屋の扉を開ける。 鍵はかかっていなくて、靴はなくて、そして部屋が散乱していた。 普通なら空き巣に入られたとか、先輩の身に何かあったんじゃないかって心配するところかもしれないが……。 「やっぱり……」 俺は部屋の中を見て確信してしまった。 あの女、先輩の服着て、先輩の靴履いて、それに先輩の匂いがした。 違和感の正体はそれだ。 「………許さねぇ。」 先輩は後で問いただす。 その前にあの女、捕まえて締めてやる。 俺は(きびす)を返して駅へと走った。

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