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SS4-4

月曜日、期待に胸を膨らませて出勤する。 朝から何回も頭の中で想像した。 一応先輩に声かけるところまでは想定済みだ。 「お、早いな、城崎。おはよう。」 「せ、先輩っ!おはようございます!」 「ぷっ…!声でか(笑)」 ダメだ。 想像の先輩より現実の先輩がキラキラし過ぎてて、心臓がうるさい。 可愛い。可愛すぎる。 「あ、あのっ、先輩…っ」 「ん?どした?」 「あのっ…、その、よかったら…なんですけどっ」 「落ち着けって。どうした?」 俺(ども)りすぎだろ。 格好悪い…。 震える手を制して、チケットを差し出して頭を下げる。 「い、一緒にっ…!行きませんか…?!」 「え……?」 先輩はポカンと口を開けて固まり、そして俺の差し出したチケットを見て目をキラキラと輝かせた。 「えっ?え!これってあのホテルのスイーツビュッフェ?!」 「は、はいっ!先輩、前に行きたいって言ってた気がして……。」 「行きたい!!え、どこでゲットしたんだ?俺この前抽選外れてさ〜!やったー!本当にいいのか?」 「はいっ!」 「ありがとうっ!!」 「っ!?」 ぎゅっと手を握られて、体が跳ねた。 やべぇ…。先輩から握ってもらえた。 やばい。嬉しい。嬉しすぎるって……。 「いつ行く?今週末とか?早い?」 「えっ、えっと…、今週末行けます!」 予定あっても空けるに決まってる。 マジで?本当に?夢じゃない? 「じゃあ土曜日な!やった〜♪楽しみ〜♪」 「お、俺もっ!楽しみにしてます!」 「おう♪」 先輩めちゃくちゃ喜んでくれた…。 やべー…。デートまで漕ぎ着けちゃったんだけど…。 放心状態になっていると、スマホがメッセージを受信した。 『城崎のおかげでカナちゃんと付き合うことになりました♡マジで神。ありがとう〜!』 え。マジか。 てかあの女、カナって名前だったのか。 それすら知らなかったけど、眼中になかったはずの友人が結ばれた。 つまり俺にもワンチャン、いやそれどころかツーチャンもスリーチャンもあるのでは? と、意気込んだ俺だったが、結局土曜日のデートではあと一歩踏み出せずに先輩の笑顔を堪能するだけで帰宅したのは、勇気のない俺が生み出した今でも忘れられない苦い思い出になったのだった。 fin.

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