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何故だ…。 「先輩〜、今日は何食べたいですか?」 「んー、肉じゃが。」 「じゃあ今から作り始めますね。」 なんで…? 「先輩、一緒にブイハ見ませんか?」 「うん……」 「じゃあ先輩の好きなシーズン2流しますね。」 落ち着け、俺。 落ち着いて…。 「先輩、今夜は久しぶりに先輩のお口使ってもいいですか…?」 「え、あ…、うん…?」 「先輩、俺はいつも通り、先輩のえっちなお尻で気持ち良くなりたい…。」 「う、うん…??」 こういう直接的な夜の話は日常茶飯事だ。 そうじゃなくて、俺が今混乱している理由は…。 理由は……、 「「先輩♡」」 なんで……。 「なんで城崎が二人いる?!」 目の前には料理をしている城崎と、俺の隣で映画を見ている城崎、二人の城崎が存在した。 全くもって理解が追いつかない。 唯一追いついてるとすれば、これが夢だということだけはわかる。 ああ、夢じゃん。夢だからじゃん。 「解決した……。」 「何がですか?」 「城崎が二人いる理由…」 「あぁ。先輩が好きすぎて、俺が足んなくて増えちゃった♡」 「いっぱい気持ち良くなりましょうね?♡」 城崎一人でも十分満たされてるのに、二人なんかになったらどうなるんだよ。 特にセックス中…。 身体も心も追いつくのに精一杯なのに、大好きで堪らない恋人が二人もいたら、混乱しちゃうじゃんか! 「先輩、そわそわしてどうしたの?」 「し、してないっ…!」 「もしかして、期待しすぎて映画も集中できてないんじゃないですかぁ?♡先輩のえっち♡♡」 「〜っ///」 そわそわしないわけないじゃん。 だって、城崎二人と…。 何されるかわかったもんじゃない。 3Pなんて、自分の人生には縁がないものだと思っていた。 俺は一途だし、浮気なんかしないし。 それに城崎は嫉妬深いし、何があっても3Pをする状況になんてなり得ないと思ってたのに。 「先輩♡」 「先輩♡」 「「夜が楽しみですね♡」」 両耳から囁かれ、俺は顔を真っ赤にしながら耳を塞いだ。

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