89 / 128
8-1
何故だ…。
「先輩〜、今日は何食べたいですか?」
「んー、肉じゃが。」
「じゃあ今から作り始めますね。」
なんで…?
「先輩、一緒にブイハ見ませんか?」
「うん……」
「じゃあ先輩の好きなシーズン2流しますね。」
落ち着け、俺。
落ち着いて…。
「先輩、今夜は久しぶりに先輩のお口使ってもいいですか…?」
「え、あ…、うん…?」
「先輩、俺はいつも通り、先輩のえっちなお尻で気持ち良くなりたい…。」
「う、うん…??」
こういう直接的な夜の話は日常茶飯事だ。
そうじゃなくて、俺が今混乱している理由は…。
理由は……、
「「先輩♡」」
なんで……。
「なんで城崎が二人いる?!」
目の前には料理をしている城崎と、俺の隣で映画を見ている城崎、二人の城崎が存在した。
全くもって理解が追いつかない。
唯一追いついてるとすれば、これが夢だということだけはわかる。
ああ、夢じゃん。夢だからじゃん。
「解決した……。」
「何がですか?」
「城崎が二人いる理由…」
「あぁ。先輩が好きすぎて、俺が足んなくて増えちゃった♡」
「いっぱい気持ち良くなりましょうね?♡」
城崎一人でも十分満たされてるのに、二人なんかになったらどうなるんだよ。
特にセックス中…。
身体も心も追いつくのに精一杯なのに、大好きで堪らない恋人が二人もいたら、混乱しちゃうじゃんか!
「先輩、そわそわしてどうしたの?」
「し、してないっ…!」
「もしかして、期待しすぎて映画も集中できてないんじゃないですかぁ?♡先輩のえっち♡♡」
「〜っ///」
そわそわしないわけないじゃん。
だって、城崎二人と…。
何されるかわかったもんじゃない。
3Pなんて、自分の人生には縁がないものだと思っていた。
俺は一途だし、浮気なんかしないし。
それに城崎は嫉妬深いし、何があっても3Pをする状況になんてなり得ないと思ってたのに。
「先輩♡」
「先輩♡」
「「夜が楽しみですね♡」」
両耳から囁かれ、俺は顔を真っ赤にしながら耳を塞いだ。
ともだちにシェアしよう!