114 / 128

9-1

「城崎、別れよう。」 俺が放ったこの一言が、城崎を変えてしまった。 俺が別れを告げてすぐ、目の前が真っ暗になった。 目を覚ました時には知らない部屋にいた。 首の後ろあたりがズキズキする。 部屋にはキングサイズのベッド以外何もない。 高いところに小さな窓があるだけで、それ以外に外を確認する手段はなく、入口も重々しい鉄の扉だ。 両手は背中に回されて拘束されており、足首には枷を嵌められ、鎖で繋がったそれはベッド柵に繋がれている。 「先輩、起きたんですね。」 「城崎……」 キィ…と扉が開いて、城崎がお盆を持って中に入ってきた。 お盆には湯気が立った卵粥とスープ、それにスポーツドリンク。 喉がカラカラで、お腹も鳴っている。 でも四肢が拘束されていて、座ることすら難しい。 「城崎…、これ……」 「あぁ。座りにくいですよね。大丈夫。俺の上に座って?」 城崎は俺を起こして、自分の上に座らせる。 あーん、と口元にお粥を持ってこられたけど、城崎を見上げてお願いする。 「…っ、違くて、……外してくれない?」 「…?」 「これ、外してくれないと困る…」 手首を動かしてアピールすると、城崎はムッとした顔をする。 「なんで?」 「なんでって…」 「逃げる気?ダメですよ。先輩は俺のものなんだから。ずっと俺のそばにいなきゃいけないんです。」 「城崎…、話を…っ」 「別れるなんて許さない。」 「痛っ!」 城崎はお盆を床に置き、俺をベッドに押し倒した。 ガリっと首すじを噛まれ、痛みが走る。 「城崎っ、待って…!」 「………」 城崎は無言のまま、下着ごと俺のズボンを下ろした。 どうしてこうなったんだっけ? どうして俺は、城崎にあんなこと言ったんだっけ? 覚えてない。 ただ目の前の城崎が怒っていること、俺の気持ちを無視して無理矢理されそうになってることは明らかだった。 「城崎…っ!痛ぁっ…」 「………」 「痛いっ!痛いよ、城崎…っ」 乾いた穴に、城崎が指を突っ込んだ。 俺は男で、興奮しても後ろが濡れるわけないのだから、摩擦で痛いのは当たり前。 いつもならちゃんとローションを使ってくれるのに、どうしてこんな無理矢理……。 「城崎っ、やめて…!」 「先輩、俺のこと嫌いになった?」 「え…?」 「ごめんね。でも先輩が俺無しじゃ生きられないように、身体にしっかり覚えてもらわないと。」 城崎は悲しそうな顔で笑って、俺をベッドにうつ伏せにさせた。

ともだちにシェアしよう!