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第228話

「俺のこと抱き上げて、玄関まで連れて行ってさ。キスしてくれた。俺、ふらふらな頭ン中で考えたよ。あー、幸せだなって。そしたら、さ。首元に何か冷たいものが触れたんだ」  せつくんは自分の首元に付けられたColorを撫でる。 「それで、玄関先の鏡を見るように言われて、見た。首にこれがついてた。声、出なかった。夢かもしんないって思ったから、Dom様にいっぱい抱きついた。あのときのDom様の少し困ったような顔、忘れらんない」 「フゥ〜。いいねえ、いいねえ!」  透夏くん。テンション爆上がり。 「なんで玄関先に連れてきたのか後から聞いたら、『せつとの関係はこの玄関から始まったんだから、Colorもここで付けるべき』だって。ほんとにもー、俺のDom様って感じ。以上っ」 「……すごい」  せつくんのColorエピソードも素敵だった。透夏くんのエピソードもすごく良かったし。 「せつくんのDom様かっこいいね」  素直に感想を述べると、せつくんは目尻を赤くさせて手を膝の上でこねこねした。言い方はヘンかもしれないけど、主人が褒められて喜ぶ使用人のようだった。  僕も、いつかそんなふうになれるのかな。いや、でもまずは志麻さんに話を聞かなきゃ。僕の知らない、相良さんのことを知って。その上で決めなくちゃ。

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