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第15話

「マスターごめんなさいっ……! 僕、二度とこんなこと──」 哀願する志倉を冷たく見下ろし、堂島は無言で床を指し示した。脊髄反射のように、志倉はさっと主人の足下に膝をつくと、両の手首を背後で組む。だがその視線だけは不安から下げられず、恐怖に揺れながら主人を見上げる。 「マスター、本当にごめんなさい……何でも言うこと聞く。だから、だから──」 「口を閉じろ。俺が許可するまで、お前は何も喋るな」 志倉はハッと口を噤んだ。その身体は恐怖でガタガタと震え、背後で組まれた手は真っ白くなるまで握られていた。 堂島は深い息をつくと、革の手袋をはずし、コートのポケットから何かを取り出した。 一体、何が起ころうとしているのか、良明にはさっぱりわからなかった。 ポケットから出てきたのは、小さな箱型のケースだった。堂島はおもむろにその蓋を開けると、中からシルバーのシンプルな指輪を取り出した。そして、膝をつく志倉の前にかざしてみせる。 「志倉樹。俺のスレイヴになってくれ。これから先、俺はお前の居住食、全てを支配し、その安全と責任を負う。お前の心も身体、何もかも全部、一遍たりとも俺が支配しないものはない。お前はこの先、一生、俺の所有物だ」 志倉は何が起きたのかわからないというように、瞬きを繰り返していた。 「マ、マスター、僕は……」 「言い訳は聞きたくない。答えは、イエスかノーかだけだ」 力強かった堂島の声が、ふいに泣きそうに歪む。 「もし嫌ならセーフワードを言ってくれ。そしたら、もうこの話は二度としないし、過剰な干渉もしない」 志倉は堂島のこわばった表情を見、一度顔を伏せた。そして再び、すっと相手を仰ぎ見る。その目にはもう迷いも恐怖もなかった。 「イエスです、マスター」 膝をついたまま優雅に背筋を伸ばし、恭しく頭を垂れる。さらりと長めの髪がその肩に落ちた。 「イエスです。僕は、貴方のスレイヴになりたい」 ぐっと堂島の喉が鳴った。威嚇するように低く唸る。 「わかっているのか? スレイヴの契約は……一生ものなんだぞ?」 「光栄です。僕は何もかも貴方のものになりたい。だからお願いです、マスター。僕に慈悲を」 敬愛と恭順に濡れた瞳を向けられ、堂島は切羽詰まったように息をもらした。そして手に持ったリングを自らのサブ(S)──スレイヴ(S)の左手の薬指にそっと嵌める。 「契約完了だ。これでお前は俺のスレイヴ(もの)だ」 「……マスターっ」 志倉が感極まったように腕を伸ばすと、堂島がその身体をすくい上げるように抱き締めた。 「ありがとう……俺の命令に答えてくれて……本当にありがとう……」 志倉の首筋に顔を半分埋めた堂島の目元から、ほのかに光るものが見えた。が、良明は見なかったふりをした。 「おい、見たか? あれが本当のスレイヴ契約ってヤツだ」 堂島たちを静かに見守っていた店のスタッフたちが、有野の尻を蹴り上げる。いつの間にか、男はトランクス一丁まで身ぐるみ剥がされ、目隠しに猿ぐつわと、フル装備のボンテージがはめられていた。だが、タプタプとした脂肪がストラップにのり、セクシーというよりは滑稽という感じだ。 マスター役のスタッフが、男の顎をムチの取っ手で上げながら堂島に聞く。 「で、こいつどうしましょうか? さすがにどんな悪食のマスターでもこんなおっさん相手しないでしょうし、なんならこの格好のまま警察の前に置いておきましょうか」 堂島は四つん這いになって「うーうー」と不満の声を上げている有野を一瞥したのち、興味をなくしたように自らの腕の中にいる志倉に目を戻した。 「お前たちの好きにすればいいさ。俺たちはこれから二人で住むアパートを探しにいってくるから、あとは任せたぞ。ただし、法だけは犯すなよ?」 「仰せのままに」 堂島は未だふらつく志倉の肩を抱くと、ともにフロントドアの方に向かった。 「お幸せにー!」「おめでとうー!」 と、スタッフたちが拍手で見送る中、志倉がちらりと肩越しに良明たちの方を振り返った。その口元には申し訳なさそうな笑みが浮かんでいた。が、ちらりと隣をゆく主人と視線を交わした瞬間、そこは大きな笑みにとって変わった。 笑顔を交わしたままの二人の後ろで、パタンとフロントドアが閉まる。 一連の空気に飲まれっぱなしだった良明はようやく息を取り戻し、隣にいたマキの袖を引く。 「ねっね、今のってプロポーズ、だよね!?」 「はぁ?」 何言ってるんだ、こいつ、というようにマキが眉を顰める。先ほどまでの素直で従順なサブの面影はまったくない。 「何を見てたんだよ、今のは、ただのスレイヴ契約だろう?」 「え、そうだけど……あれはどう見ても……いや、確かに、膝を折っていた方は逆だったかもしれないけど……」 どうも納得できなくてもごもごと言っていると、 「ってか、プロポーズって何だっけ?」 とマキが首を捻った。良明は、契約を交わす前にやることがたくさんあるな、と実感した。 ※ 春の風が街路樹の葉を穏やかに揺らす、午後。 「すみません、遅れました!」 良明は歩道に面したカフェのテラス席に慌てて駆け込んだ。そこでは堂島と志倉が並んでお茶をしていた。堂島はいつも通りのぱりっとしたブランドスーツ、志倉はラフなシャツとジーンズを着ている。 クラブの薄暗いネオンではなく、昼間の明るい光のもとで見る二人は、どこからどう見ても友人同士──もしくは、普通のカップルに見えるだろう。誰もこの二人が、SM世界の有名な主従だなんて思わない。 「悪いな。昼休みに来てもらって」 堂島の勧めで、向かいの席に座る。 「いえ、それよりどうですか、ええっと、同棲じゃなくて……同居? 生活は?」 志倉がコーヒーのカップをおいてくすりと笑う。 「同居だね。それかルームシェア」 「は、はぁ」 ルームシェアというには、二人の関係はあまりに特殊で濃すぎな気もしないでもないが、あえて何もツッコまない。 「でも、この前は本当にビックリしましたよ。志倉さんが深刻そうに頭を抱えて『いい加減、セーフワードを言いたい』ってブツブツ呟いていた時は。一体、二人の間に何があったかと……」 「そ、それは……」 顔を赤くした志倉が、落ち着かなそうにカップの持ち手をいじる。 「あれは堂島さんが、コーヒーは一日三杯までって命令してくるから……」 「当たり前だ。毎日二十杯以上飲むなんて異常だ。どうりでキスをする度、コーヒーの味がすると思っていたら。あれはもう、中毒だ。依存症だ」 「あはは、なるほど。つまり、俺以外に依存するのは許さないってことですか?」 冗談で言ったつもりだったが、堂島は「どうしてわかった?」というような目で見てきた。どうやら、良明の脳もすっかりマスター仕様に作り替えられてしまったらしい。 「で、お前たちの方はどうなんだ?」 堂島がテーブルの下で、長い足を組み直しながら尋ねた。 「あれから、マキとは? 一緒に住んでいるのか?」 「いや」 良明は、ウェイターにコーヒーを注文してから首を振った。 「結局、話し合って別々に住むことにしました。マキも『普通の自立した一人暮らしを試してみたい』って言ったんで。まぁ、アパート自体は近いんですけど」 へらっと呑気に笑うと、堂島はカップの縁に口をつけたまま重々しく頷いた。 「だが、正式に契約はしたんだろう?」 「はい。色々話し合って。週に一、二程度はサブとマスターとして、あとは普通の恋人同士でつき合っていくことを決めました。SM世界のことはマキに教えてもらって、僕は僕で普通の世界のことをマキに教えてあげるような感じですかね。マキは最初、普通ってよくわからないって顔していたんですけど、それが僕の望みなら努力するって言ってくれて。アパートの件もそういうことの延長で」 「良かったですね。でも、やっぱり工藤さんにとっては普通の関係の方がお望みなんですか?」 志倉が嬉しさ半分、寂しさ半分といった面もちで聞いてきた。 「いや、そうゆうわけではなくて……」 良明は頬が熱くなるのを感じながら、もごもごと言う。 「常にマスターでいると、僕の理性が保たないっていうか……自分でも驚きなんですが、僕、かなり支配欲が強かったみたいで。もちろんマキに対してだけなんですが。どうもあの子を前にすると、何もかも支配したくてたまらなくて……だから自制するためにも普段は普通でいようと」 「なるほどな」 わかるぞ、というように頷いた堂島の横で、志倉がくすくすと笑う。 「やっぱり、僕の予想通り、工藤さんはマスターがぴったりでしたね」 「あぁ、お前の言っていたことが全部当たったな。負けたよ」 「だから言ったでしょ。貴方(マスター)たちは結局、僕たち(サブ)には叶わないんですよ」 一瞬、むっとした顔をした堂島だったが、すぐ我慢しきれなくなったように破顔する。良明でもドキリとするくらい、その表情は柔らかく、幸福に満たされていた。 ルームシェア──本人たちいわく──のおかげか、二人の間に最後の最後まであった緊迫感は、すっかりと消え失せたようだ。心なしか、堂島も手放しで笑うことが多くなった気がする。 「おっと、噂をすれば」 キイッと、エンジンを切る音が聞こえた。道端に停まったバイクから、レザーのジャケットにジーンズというバイカースタイルの男が降りたった。フルフェイスのヘルメットを外し、颯爽と席まで歩いてくる。 「ごめん。バイトが長引いちゃって」 マキは堂島たちを見、ついで良明に目を向けて、にこりと笑う。子供みたいな大きく、警戒心のない笑顔に、良明の心が揺れる。マキといるといつもこうだ。ほんの些細なことでさえ、目を奪われる。 「こっちへ」 隣の席を指さすと、マキはととと、と小走りで席につき、イスを主人の方に寄せた。くすりと志倉が忍び笑う。 「すっかり調教しましたね。まさか、あのマキ君がここまで子犬みたいに懐くとは」 「誰が子犬だよ」 と言いながらも、マキは良明のコーヒーに手を出そうとして「こら」と手を叩かれ、しゅんと目を伏せた。子犬そのものの表情に、今度はマキを除いた一同が笑う。 「すみません……行儀がなっていなくて……」 「いや、こんなに生き生きしたマキを見るのは初めてだから驚いただけだ」 言いながらも堂島は、志倉の肩に手をおいて、はははと盛大に笑っていた。 「そういえば、それ、もらったんだね?」 志倉がマキの首に光るものを指さした。Tシャツの首もとには、チョーカー風の赤レザーの首輪がはまっていた。 「よく似合っているよ。オリジナルで作ってもらったんだっけ?」 志倉が視線をマキから、良明に移す。 「はい。道具屋さんに頼んで。そしたら鞭までセットでつけるよって言われましたけど、そっちの方は丁重にお断りさせてもらいました」 「相変わらず、ハードなのは苦手か」 笑いの余韻をわずかに滲ませた顔で、堂島が聞いてきた。良明は考えながら言う。 「程度によりますけど、はい。でも最近になってわかったんですけど、マキもそんなに痛み自体は好きじゃないみたいで、どっちかと言うと焦らされる方が感じるらしくて……」 「おいっ、そういうことは言わなくていいんだよっ!」 顔を真っ赤にしたマキが繰り出してくるどつきを、良明は「あれ? 口に出てた? ごめんごめん」は飄々と避けていく。 しばらくその様子を呆れたように見ていた堂島が、やがて重厚な声で言った。 「何はともあれ、主従契約おめでとう」 良明とマキが堂島に顔を向けると、彼は二人を交互に見、大きく頷いた。 「お前たち二人は、俺が思っていた以上に、いい主従になってくれた。最初はあまりに違いすぎると心配だったが、もしかしたら主従はここまで違った方がいいのかもな。一対という意味では。お前たちは、俺が求める理想的な主従の姿そのものだ」 隣の志倉も静かに頷き、テーブルにのった堂島の手にそっと手を重ねる。きらりと、その薬指にはめられたシルバーのリングが午後の光を受けて光った。 良明は、ふいに涙ぐみそうになった。 ずっと昔から憧れ、待ち焦がれてきたものが、今ここにある。確かに見え、自分の手が触れられるところに。 良明はテーブルの上に置かれた、マキの手に自分の手を重ねた。 「マスター?」 とマキが気遣わしげに手を重ねてくる。大丈夫、という代わりに良明はマキの首に手をやり、近くに引き寄せた。 今、この瞬間、誰に見られたとしても、誰に指をさされたとしても、自分たちの関係を恥じるつもりはまったくなかった。 ぐずっと鼻をすすり、堂島たちに顔を上げる。 「ありがとうございます。僕たちも、堂島さんたちみたいになれるように頑張ります」 「そのセリフは、少なくとも十二年間は一緒に過ごしてから言ってもらいたいものだな」 ふふんと笑い、堂島は志倉と顔を見合わせた。良明も負けじと胸を張る。 「大丈夫です。これから一生一緒に過ごしていくつもりなんで」 ぎゅっと手を握ると、マキも同じ強さで握り返してきた。 ──やっと手に入れた。 小さな頃から、ずっと待ちこがれ続けてきた運命の相手。 僕だけのマイ・フェア・スレイヴ。 ○●----------------------------------------------------●○ 3/28(月) 本日、『マイ・フェア・マスター』のPV増加数の方が 3ビュー分多かったので、こちらを更新させていただきます。 また、本作はこれで最終話になります。 いままで読んでくれていた方、動画を見ていただいた方、 本当にありがとうございます! ■私的オススメBDSM小説■ 一時期、BDSMのM/M小説(M/M=male/maleで、日本でいうBLみたいなもの) を読みあさっていたことがあるので、 私的に良かったものを紹介させていただきます。興味がある方はどうぞ! ※数年前に読んだものたちで記憶があいまいだったりするところがあるので、 もしありもしないことを書いていたら申し訳ありません……笑 〈M/M界のBDSMについて〉 M/M小説のBDSMジャンルは基本、 Dom様(支配者)は配慮の行き届いた俺様スパダリだらけ! Sub(奉仕者)は従順で好奇心旺盛、いじましいドMだらけ! そんな二人の強い絆と深い信頼関係! 支配関係による解放と癒やし! そしてドロドロのドエロ!の嵐! なので、おいしいところが満載のテーマパークのような世界です。 M/M小説の中では一大ジャンルの一つなので、とても面白い作品がたくさんあります。 もし興味をもたれた方がいらしたら、ぜひBDSMの世界に足を踏み入れてみてください。 踏み入れたら最後、中毒になって私みたいに 手錠とかムチをもったイケメンたちが表紙を飾る小説をこそこそと読みあさっていることでしょう。 ※一応、英語力がアップするというおまけ付きです。 ①『A Strong Hand』 著:Catt Ford 写真家の熟練Dom様 × 初心者Subの大学生 〈あらすじ〉 写真スタジオでバイトをしている大学生のNicholasは、ある日BDSMをテーマとするカタログの写真撮影にモデルとして参加することになる。そこからBDSMの世界に興味を抱き始めた彼は、写真家であり熟練のDomであるDamianの手ほどきと調教の元でBDSMの世界へと踏み込んでいく。 〈コメント〉 BDSM入門教本だと勝手に思い込んでいるほど、 初心者にとっつきやすく、かつ、おいしい萌えのあるお話です。 受け(Bottom)であるNicholas君もBDSM初心者のためか、 攻め(Top)から教えを通して、読者にもBDSMの世界のことを色々と教えてくれます。 私もこの作品からBDSM世界にはまりました。 BDSMどころかゲイでもなく元々ノンケであったNicholas君を Dom様ならではの丁寧な気遣い(というか、世のDom様はみなさん、気遣いの鬼であっぱれで)と所有・支配で導き、 「Monsterを生んでしまったみたいだ」といわしめるまでに 生まれながらのSubに開発してしまったDamian様はさすがです。 Nicholas君も初心で可愛らしい男の子ながら、好奇心旺盛で決意したらとても大胆になるところも見せます。さすがアドレナリンジャンキー。 エロは「ひいい、痛そう」な感じのものはありません。 アナルプラグとかSlingとかアナルビーズとか、 どちらかというと小道具で攻めたてちゃうプレイで通常運転でエロエロです。 ②『The Good Boy』著:Lisa Herry, J.A. Rock 写真家の庶民派Dom × 内気な没落お坊ちゃまSub 〈あらすじ〉 Lane Moredockは全ての人から憎まれていた。 それは彼の両親が経営する会社が詐欺を働き、 母親は逮捕、父親は逃走中、 自身にも詐欺幇助の疑いがかかっているからだ。 欲しいものは全て手に入る生活から一変、汚いモーテルに滞在する日々。 大学の授業料すら捻出することができず、Laneはついに両親の友人であり詐欺の被害者でもあるActonに頼るべく、彼の開催するパーティーに忍び行く。そこでActonから授業料を出す代わりに「自分の屋敷に一週間滞在し、自分の命令に従うこと」という条件を出される。 Laneは彼を信じて、条件を呑んだ。Laneにとって、Actonは内向的な自分の唯一の理解者であり、憧れの存在だったから。そのまま酒を飲まされ彼を受け入れるLaneだったが、行為の最中を一人のカメラマン、Derekに写真に撮られてしまう。 これがLaneとDerekの(最悪の)出会いだった。 数日後、Actonの支配と虐待によって身も心もボロボロとなったLaneが仕事を探すべく店をあたっていると、路地裏でDerekと再会。Moredockの詐欺によって自身も資金を失ったDerekはMoredockへの憎悪からLaneに厳しい言葉をかける。DerekにとってLaneは尊大で甘やかされた金持ちの子ども、両親の不祥事の時にもパーティーの最中に男と寝ているような尻軽だと信じていた。 しかしその後、意外なところで再会した時、DerekはLaneが自分の想像していたような子どもではなく、もっと違う何か——自分が長い間求めていたSubではないかと思い始める。 〈コメント〉 Laneは「よく今まで金持ちのお坊ちゃんができていたな」と思うほど 繊細で内気なスーパーHSP。 人の期待に応えようとして、それゆえに人の前だと上手く喋ることができなかったりして、 結果「知能が弱い」などと失望され、それすらも感じ取って自己嫌悪を内在化してしまうほどの繊細な子。 簡単に言うと、超!超!いい子でピュア。でも彼の周りは、それを美徳としてくれる世界ではなかったんですよね……。 さらに、両親の不祥事を受け、孤立し、逃走中の父親からも顧みられず、 唯一の理解者であった年上の男Actonには間違ったBDSM的虐待を受け、 心身共にギリギリまで追い込まれます。 ※Acton家に滞在していた時の出来事は回想として、度々間に挟み込まれるのですが、 「Acton! くそ、こいつ!そこに正座しなさい!」と言いたいほど、ひどい虐待です。特にテレビの音量のシーンは殴ってやりたい衝動にかられました!あれは!ひどい!ひどいよ!Acton! 攻めのDerekは、BDSM界のDom様にしては、とても庶民派。 Laneの両親のせいでお頑張って投資したお金も消え、 別れたSubは現彼氏と仲良くしている。そのやり切れなさから、夜、一人ちびちびとお酒を飲むのが習慣という憂(愛)い奴。 でもやはりDom様の名に恥じず(?)とても、とても深い包容力がある。 3度目にLaneと再会した時、Laneの様子に危ういものを感じ取った彼は、 相手に複雑な気持ちを抱いているにもかかわらず、 シェルターにいる動物たちのカレンダーを撮影する仕事にアシスタントとして誘います。 ここから二人の仲がゆっくりと進展し、 本当のBDSM、DomとSubの関係がどれほど信頼関係で築かれたものかをDerekが導き、 両者がその関係性の中に快楽と安息を見いだしていく……というものですが 後半からLaneが詐欺に荷担していたのかどうかの問題が本格的に立ちこめてきて、 目の離せない展開になっていきます。 気になる方はぜひ読んで!続編も出てます! ちなみにサブカプのDom様とSub君も素敵で、 私は特にSub役であるBrin君がいいキャラすぎて大好きなんです! 今までBDSM小説を読んできた感じ、 Subの中にもマスターに従順なタイプと、きかん気がないタイプがいて、 この子は後者のBrat(悪ガキ)タイプです! とくかく善悪とかはまったく気にせず、言いたいことを何でも言う。 周りにいた知らない女性に「お姉さん、綺麗だねー!」とか気軽に声かけちゃう。 Laneのバイト先でも、Laneに向かって「お水、くれる? 水がいつのまにか消えちゃってさー どこにいったんだろうねぇ?」的な嫌み(水をLaneの両親が盗んだ金に例えている)を笑顔で憎たらしくいっちゃう子です。 最初読んだ時「なに、こやつ、Laneをいじめるな!」と思っていたのですが、 彼のDomであるFordさん(こっちは常識人)がしっかりお仕置きしてくれるので大丈夫! そのうちBrin君は、その鋭いお口とはっちゃけた性格のままLaneと親友になっていくのでした。よきかな。よきかな。 ちなみにエロはマイルドな方だと思います。ハードなものはないから安心。 しかし、香辛料プレイがものすごくエロい!クリエイティブ心があるDom様ダヨ、Derekは。 上の他にもまだまだオススメの本がたくさんあるので、 不定期でちょぼちょぼ紹介させていただくかもしれません〜 ○●----------------------------------------------------●○

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