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第89話
俺たちはふたりの時間が惜しくて
ノロノロと自転車を押しながら
歩いていた
「圭吾 俺たちの事親に話す?」
突然発された言葉に返事が出来ないでいた
隠すとかは考えてなかった
じゃぁ何時?タイミング?考えていた?
霞がかかっていた感情に向き合
時が来たのか
多分それには勢いなんて
必要なくて
俺たちの 今
揺るぎない 今
を確信するすべが欲しいのか
砂川?俺ら繋がっているよな
「俺は…誰にも隠す必要なんて
ないと思っている この先
なんて 誰にも判らない
でも…今は…今だけだ 」
「俺は話したい 今すぐにでも
こんなに圭吾を思っているって」
なんだろな
砂川が何かに苛立っているような
悲しんでいるような
「優?何かあるんだろう?
話せることなら 聞くよ」
「俺の家…いや親は異常なんだよ」
「優?お前は下手だよ 振りがさ」
「へっ?」
「へっ?じゃねぇよ」
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