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第97話
暫くしてあいつと宮下信也なるものがリビングに戻ってきた
「手伝おうか?」
「いえ お客様にそんな もう終わりましたし」
母さんが入って来た
「優有り難うね 後は私やるから さぁ 座って
優弥さんたちは何か飲みます?
ビール ワイン?」
「あっ いや 後で…」
「そうね その方がいいかな」
シチューを配膳しバケットを軽く温めて出し母さんも座った
「頂きます」
黙々と食べていると
「ねぇ優 母さんシンガポールに転勤になりました」
「ヘェ?ヘェ?知らない!!!!」
「今話したからね」
「いつ決まったの?」
「正式にはひと月位前かな」
「……で?」
「二~三年もう少し行ってるかも
で…優はついてくる?
どちらでもいいけど 日本に残るとなると 色々考える事があるのよ」
「俺 俺は行けない…行きたくない」
「何故?理由を話してくれる?」
話す前に謝らなきゃ
「母さんその前に話がある
俺の話が終わるまで
口は挟まないで
お願いします
実は…実は好きな人がいるんた
で…同級生なんだよ 男子なんです
ごめんなさい
母さんが嫌な思いをしたの
知っているのに
こいつの次は息子までって
自分の血を怨んでいる
吐き気がするんだ俺
あの日の事考えると今でも
なのに…ごめんなさい
本当にごめんなさい
理解してくださいなんて言いません」
俺は泣けない 今は泣けない
泣いちゃ駄目なんだ
泣きたいのは母さんなんだから
「絶対誰も傷つけない様に頑張ります
そして周りの人達を大事する
約束します だからごめんなさい」
俺は土下座をしていた
無我夢中だった
何回も頭を床に打ち付けていた
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