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清廉潔白
──正しさをもし色で表すとしたらきっと白だ。
混じり気のない白。潔白、清白、純白。それは澱みなく、後ろ暗さの欠片もない、真っ白なもの。
それにより近づきたくて、ありとあらゆる本を読んだ。
時間の許す限り多くの本を開いてたくさんの文字を飲み込む度、なぜか自分の中にある決して白ではない、濁り汚れた黒いものが体から溢れた。
文学や哲学、自己啓発。どこかの誰かがが物語る正しさの教えを乞うたび、己の中にあるドロドロとした謎の生き物が、拒絶反応を起こしては毎回悲鳴を上げるのだ。
自分が愚かなのは重々承知だった。
知識を蓄えたところで、自分が正しい人間になれるかどうかはまた別の話だ。それでも俺は誰かが提示する正しさを追わずにはいられなかった。
化けの皮でもいい──とにかく、正しい自分を手に入れたかった。
そうしないと、俺はきっと大切な親友を傷付け、酷い形で失うと思ったからだ──。
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