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「すごいドキドキしてる」 「言うなっての……。するに決まってんだろ。ってか、そんなとこ触んなって……」 「乳首って男でも気持ち良くなれるって聞いたことあるんだよねぇ」 「俺は嫌だ……っ、おい!」  きゅぅ、と小さな粒を摘ままれ、思いがけず息を詰めてしまう。  その反応に気を良くしたのか、少し身を屈めて今度は反対側の乳輪ごと口に含んだ。 「よしきっ、ふ……っ」  下から上へ、上から下へ。ゆっくり丁寧に舐めあげて、つんと立ち上がった先端を舌先で転がすように愛撫される。  ぞわぞわする。快楽にはまだ届かない、けれどいつかみだらに芽吹いてしまうであろう種を優しく刺激されて、凌は無意識に膝を擦り合わせてしまう。 「や、めろって……」 「だーめ」  舌を這わせたまま、嘉貴が喋る。上目遣いにこちらを見る瞳は楽しそうで、どこか意地悪だ。 「俺とのセックス、いっぱい気持ち良くなってほしいもん」  いつかここだけでイってね。恐ろしいことを言った嘉貴は、そのまま脇腹、みぞおち、臍と徐々に唇を下にずらしていく。そして戯れのようなキスはやがてズボン越しに凌の中心にも優しく落とされた。 「腰、あげて」 「ん……」  倒錯的な光景だった。  女とつき合って、童貞も捨ててるって言ってた。そんなやつが本当に男相手で興奮するのか?  拭えきれなかった不安感を取り除くみたいにそこにキスをされて、下腹部が疼いてしまった。  下着ごと脱がして凌のことを産まれたての姿にした嘉貴は、そのまま一切乱れていなかった己の洋服にも手をかけた。凌を脱がす時にはなかった雑さでベッドの下に服を捨てて「そういえば」と思い出したように呟く。 「何も話してなかったけど、俺が抱いてもいい? 抱きたい?」 「は?」  ここまできて訊く内容か。と言いたかったが、当の嘉貴はいたって真面目な、それでいて難しい顔で表情で続ける。 「できれば、結構かなり俺が抱きたいんだけど、凌がそっちがいいなら俺が抱かれる。……けど、五回に一回は俺も抱かせてほしい。なんなら交代制」 「……っふは。めっちゃ必死じゃん。顔が不服そうすぎるだろ」 「当たり前だろ? 俺がどんだけ妄想してきたと思ってるの? ずっとお前のこと、抱きたくて仕方なかったんだから」  本当に抱けるんだ。抱いてくれるんだ。  態度で、言葉で伝えられる愛情に、言いようのない幸福感で満たされていく。  抑えきれない喜びを笑みに変え、ベッドの上に投げ出していた両腕を嘉貴の首に回して抱き寄せた。 「じゃあわざわざお伺い立てなくたっていいよ。俺もずっと抱いて欲しかった。ずっと……想像してた――ん……っ!」  言い終わる前に、言葉ごと飲み込むように唇を塞がれしまう。

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