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叶うことがないとしても
「結婚……か」
あいつの恋事情には俺が付け入る隙なんてどこにもなかったんだ。
変に期待なんかして馬鹿みたいだ。
あいつは俺のことを友達としか見てなかった。
むしろそれが普通なんだ。
俺は普通じゃなかった。異常者だ。
友達をそんな風に見て、最低だ。
最低だ、最低だ。だから、バチが当たったんだ。
『今日はごめん。長い付き合いの友達に、急に報告受けたもんだからビックリしちゃって……
結婚か、おめでとう。式は呼んでくれよ』
置いてきてしまった雅人に、流石に悪いと思い連絡を入れた。
『俺の方こそ急にごめんな、やっぱりこういうことは親友に1番に伝えたくて』
「親友、か」
昔はあんなに嬉しかったこの言葉が今は、ただただ虚しく感じた。
『式は、金もずっと貯めてたし10月を予定してる』
あと5ヶ月。それまでに自分の気持ちを整理しておかないと。
俺、失恋したんだなぁ
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