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この場所で誓う

「結婚相手、綺麗な人だったな。 式なんだし、丁度いい。 お前の気持ちを聞かせてくれよ」 「あぁ、いくらでも言ってやる。 出会った時からピンと来た。 今は、好きで、愛してる。なんて、ちょっと恥ずかしいけどな」 「……それ位が丁度いいよ」 「そういう、ものなのかな」 そう言って、二人して笑いあった。 そんな、式の前の会話。 雅人は今までよりも何倍もかっこよくて、 けど出会った時から変わっていない 人懐こさと、優しさで。 幸せになってほしい。好きだからこそ。 「好きだったよ」 「ん?何か言ったか?」 「いや、かっこよく決めてこいよって言ったんだよ」 「あぁ、任せろ! ……俺もお前が幸せになれるように願ってるからな!」 「余計なお世話。ほら、行ってこい。」 『愛情には一つの法則しかない。それは愛する人を幸福にすることだ。』 かつて、小説家スタンダールはこう言った。 愛する人を幸福にすることが、愛情ならば 愛する人の為に自分の気持ちを押し殺すことだって必要だ。 さよなら俺の初恋の人。

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