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第19話

 2ー5 誰ですか?  俺は、場が重くなってきたので少し席をはずすことにした。  「ちょっと失敬」  俺は、立ち上がった。  少し離れた茂みの方へと入っていくと、俺は、小用を足すことにした。  まったく。  勇者にしろ、ハツ様にしろ、仕方のない連中だな。  俺は、ふぅっと吐息をついた。  もっと強引に攻めたらいいんじゃね? それをなんだかんだといってるからこんなことになるんじゃねぇの?  そのとき、背後でぶふぉおっという鼻息が聞こえてきた。  はい?  なんか底知れず嫌な予感がして、俺は、恐る恐る後ろを振り向いた。  そこには。  なぜか、巨大なゴブリンが一匹の立っていた。  ゴブリンとは、豚の頭部を持った魔物で、男も女もかまわずに犯して食らう悪食で有名だった。  ゴブリンは、俺を見下ろしてにたぁっと笑った。  「お前、うまそうな匂いがするな」  「いやっ!気のせいですぅ!」  俺は、じりじりと後ろずさった。ゴブリンは、口許から涎をたらしながら俺に迫ってくる。  「ちょっとだけ味見させてくれよぉ」  ちょっとだけ味見って、なんだよ?  俺は、恐怖に足がすくんで、声も出なかった。  助けを呼ばなくては。  俺は、なんとか声をあげようとした。  けれど。  「むだだぞぉ、この辺りは、結界を張っているからなぁ」  ゴブリンは、にへへっと薄気味悪く笑った。  「いくら泣き叫んでも誰も来ねぇぞぉ」  ゴブリンが逃げようとした俺の片足を掴んだ。俺は、引き倒され奴の方を見上げた。  暗闇の中に浮かび上がった赤い瞳。  ぴちゃっと奴の舌舐めずりする音がきこえた。  「へへっ、あんた、メスの匂いがするなぁ。たっぷりと可愛がってやるからなぁ」  メス?  俺は、ハトマメで考えていた。  俺がメス、ですと?  俺を引きずり寄せたゴブリンがにまぁっと笑った。  「じゃあ、いただきますぅっ!」  「いっやぁあぁああっ!」  俺は、顔を背けて目を閉じた。  そのとき。  ばしゅっという鈍い音がしてゴブリンがゆっくりと俺に覆い被さってきた。  「ぎぃやぁぁああぁあっ!」  俺が叫んでいると何者かが首なしになったゴブリンを俺から引き剥がした。  「大丈夫か?」  はい?  俺は、スローモーションで声の方を見上げた。  そこには。  白銀色の長い髪に、4本の角を持つ、澄んだ青い瞳の男が立っていた。  

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