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第22話
2ー8 番ですか?
男は、ガイと名乗った。
「本名は、ガイナスだが、お前は、俺をガイと呼べばいい」
「じゃあ、ガイ」
俺は、掛布にくるまってミノムシ状態で男にきいた。
「俺は、なんでここにいるんだ?」
「きまっている」
ガイは、真面目な表情で答えた。
「私が連れてきた」
マジか?
俺は、訊ねた。
「なんで?」
「なんでって、当然じゃないか」
ガイは、事も無げに応じた。
「大切な番なんだからな」
「番?」
俺がきくとガイは、微笑んだ。
「そうだ。お前は、私の番だ」
「ちょっと待って」
俺は、ガイを手で制した。
「俺は、もう40を過ぎたおっさんなんだが、そのせいか、物事が理解しにくいことがあってな。頭が固くなってんだろうな」
俺は、ガイに頼み込んだ。
「頼むからおっさんにもわかるように説明してくれ」
ガイは、俺のお願いをきいてくれた。
俺に詳しくわかりやすく説明してくれた。
いわく。
魔族には、番信仰があるのだという。
つまり、生まれたときから運命られた半身ともいえる相手が存在する。
「子供の頃からきかされていた番にまさか、この私が出会うとはな」
ガイは、俺にそっと手を伸ばして頬に触れながら話した。
俺は、ガイの手を払いながらきいた。
「なんで、俺が番だとわかるんだ?」
暗に間違えでしょ?と指摘するとガイは、ムッとした様子で言った。
「間違えようがない。会った瞬間にお前がそうだとわかった」
ガイが言うには、番からは特別な匂いがするのだという。
なんでも、甘いなんとも言えない美味しそうな匂いなのらしい。
でも、それだと俺を襲ったゴブリンもそんなこと言ってなかったか?
そう、俺がいうとガイが頷いた。
「お前は、特別だ」
どうやら俺は、魔族を魅了する匂いを発ししているのだと。
なんでだ?
というか、それなら俺がガイの番だってなんでわかるんだよ?
そう、俺が問うとガイは、笑顔で言いきった。
「魂で理解した」
マジですか?
「何にしても」
俺は、俺に触れようとするガイの手をはたき落としながら告げた。
「俺にも都合はある。一緒に旅している仲間だってきっと心配しているだろうし、一度、帰らしてほしい」
ガイは、にっこりと笑って、そして、俺の願いをきっぱりと拒否した。
「駄目だ」
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