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第45話

 4ー4 俺は、俺だ!  翌朝、俺は、妙にすっきりとした気分で目覚めた。  うん。  体は、ところどころきしんで痛いし、なんだか重いけど、気分は、最高だった。  生まれ変わったような気分だ。  俺は、起き上がろうとしたが、何かに体をぎゅっと拘束されていて動けなかった。  ちらっと横を見るとそこには、美しい四本角の男が横たわっていた。  マジか!  俺は、その男のことをじっと見つめた。  魔族とはいえ、若く見えるな。  外見は、20代にしか見えない。  こんな美しい男が、なぜ、こんなおっさんに関わるのか。  夕べも、何度も抱かれて、何度も愛しているとコクられて、俺が意識を手放すまで俺に愛を注いだ男。  俺には、理解できなかった。  こいつにせよ、テオにせよ、若いくせにこんなおっさんの尻を追いかけて何が楽しいんだか。  こいつら、二言目には番だなんだとほざいているが、それも理解できなかった。  俺は、眠っている男の頬にそっと触れた。  頬は、冷ややかでつるっとしていた。  指先で触れながら、俺は、ため息をついていた。  と、ぱちりと青い目が開いて俺をとらえた。  俺は、慌てて手を引こうとしたがこいつに手を掴まれた。  この男は、俺の手をとらえるとそっと口づけた。  「目が覚めたのか、ティル」  「ああ」  俺は、男から離れようとしたが、こいつは、俺を抱き込んだまま離そうとはしなかった。  「どこへいくつもりだ?」  「どこって」  俺は、言葉に詰まった。  こいつらのいないところへ。  一瞬、そんな言葉がよぎったが、俺は、すぐに頭を振った。  もう、逃げることはできないんだ。  「逃げないから離してくれ」  「本当か?」  念を押す魔王に俺は、頷いた。  魔王が俺を離した。  俺は、体を離すと起き上がった。  小さく悪態をつく。  「なんで、こんな見えるとこまで跡をつけるんだよ!」  「お前は、俺のものだ。その証を刻んで何が悪い」  恥ずかしげもなく言い放つこいつに、俺は、頬が熱くなった。  「そんなわけがねぇだろうが!」  俺は、魔王に向かって諭した。  「いいか?俺は、お前のものじゃねえ。言っとくがテオのもんでもないぞ。俺は、俺だ。俺を支配しようとするな!」  「だが、お前は、私の子を孕んでいる私の番ではないか」  「うるさい、黙れ」  俺は、魔王を睨み付ける。  「この子は、俺の子だ。他の誰の子でもねぇ!」  

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