７ー１　朝帰りですと？ 　「何を隠している？ティル」 　魔王城の自分の部屋へと戻った俺は、いきなりガイに壁に押し付けられていた。 　いや！ 　急すぎるだろ！ 　俺は、間近で見つめてくるガイにびびりまくっていた。 　「な、何も隠してなんて」 　「では、なぜ魔王城を抜け出して、朝帰りしている？」 　「それ、は・・」 　俺は、ガイから目をそらせた。 　朝帰りって！ 　それは、そうだけど、なんか、女子の父親かっつうの！ 　ガイは、俺の顎に手をかけて俺に顔を上げさせると視線をあわせてきた。 　赤く揺らめくガイの瞳に、俺は、背筋が寒くなった。 　こいつ、マジで切れてる！ 　俺は、慌てて弁解しようとした。 　「俺は、ただちょっと祭りを見に行きたかっただけだって！」 　「祭りを？」 　ガイがふっと笑ったので、俺もにっと笑った。 　「そう、祭りを」 　「ふん！」 　ガイが俺のことを冷たく見つめて口許を歪ませた。 　「まあ、いい。それは、また今度、吐かせてやる。それより」 　ガイが不機嫌そうに俺に告げた。 　「喜ぶがいい、お前に縁談が持ち上がっている」 　なんですと？ 　縁談？ 　俺がハトマメでガイを見上げていると、ガイは、俺を抱き上げてベッドへと運んでいき、そこへとそっと降ろした。 　ガイは、俺の隣に横たわると俺の下腹部へとそっと触れてきた。 　膨らんだ腹を撫でられて、俺は、微かに甘い声を漏らした。 　「んっ・・」 　「このジストニア王国の国王からお前に姫を嫁がせたいとの申し出があった」 　はい？ 　俺は、前に食堂でサティ様に言われたことを思い出していた。 　「サティ様のことか？」 　「そうだ」 　ガイが皮肉めいた笑みを浮かべる。 　「人間とは、愚かで強欲な生き物だな。お前と婚姻を結ばせるために３０才も年のはなれた小娘をお前のもとへ差し出してきた」 　マジですか？ 　俺は、他人事のようにきいていた。 　だって、どうせこんな話、ガイたち魔族が認めるわけがないしな。 　「どうせお断りするんだろう？」 　「それは、お前次第、だな、ティル」 　ガイが苦虫を噛み潰したような顔で俺を見ていた。 　「我々は、お前の気持ち次第ではこの婚姻を受け入れてもいいと思っている」 　なんとな？