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第84話

 7ー2 白い結婚  俺は、ガイの意外な言葉に驚きを隠せなかった。  こいつら、俺を魔王城に閉じ込めようとするぐらい俺に執着してるくせに、俺がサティ様と婚姻を結ぶことを認めてもいいとかいってるのか?  「なんで?」  俺は、ガイに訊ねた。  「なんで、俺とサティ様と結婚させようなんて思っているんだ?」  「それは、この地に魔王城を維持していくためには必要なことだからだ」  ガイは、心底不愉快そうな様子を隠そうともせずに俺に話した。  「だが、我々がこの話を受け入れるには、1つだけ条件がある」  「条件?」  俺が問うと、ガイは答えた。  「そうだ、条件だ」  俺とサティ様の婚約のために魔族が出した条件ですと?  俺は、少し興味が沸いてきていた。  こいつらが、俺とサティ様の婚約のために何を考えたのか。  俺は、ガイに先を促した。  ガイは、ますます不機嫌そうに眉をしかめる。  あれ?  俺は、口を開いたガイの言葉に耳を疑った。  「我々からの条件は、1つ。それは、お前と姫が結婚しても寝所を同じくしないことだ」  はい?  要するに、『白い結婚』ってことですか?  俺の問いかけにガイは、頷いた。  マジでか?  結婚しても俺がサティ様に手を出さないってこと?  そんなこと、言いきれるかっての!  いくら年の差があるとはいえ、男女のことだ。  どんな間違いが起こるかもわからない。  俺だって、普通の男なんだからな!  なにより、そんなことのためにサティ様みたいな子供が利用されていることが許せなかった。  これは、間違いだ!  たださなくてはならないことだ!  「そんな話は、のめない」  俺がそう突っぱねると、ガイは、興味深げに俺を見つめた。  「なぜだ?これは、お前にとっても悪くない話なのだろう?」  「んなわけがねぇだろうが!」  俺は、声を荒げた。  「そんなこと、できない!」  「だが、この国に平和に居続けたければ、この話を受け入れるしかあるまい」  ガイは、俺に諭すように話した。  「お前が不満でも、我々はこの申し出を受けるしかない。そのための条件だ」  「そこまでしなくっても」  俺は、ガイを見つめ呟く。  「他になんとでもなりそうなもんじゃないか?」  「ならないな」  ガイは、口惜しそうに言い放った。  「これは、個人の問題ではない。国とと国の問題なのだ。これ以外の方法は、望めない」  

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