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第94話

 7ー12 種違いですか?  それからしばらくたって俺が目覚めるとすぐに側にいたメイドさんらしき女の人が部屋の外へと声をあげた。  「『聖王』様がお気づきになられました!」  ばたばたと足音がして、シロアとクロエが現れたので、俺は、2人にすがるように訊ねた。  「俺の子供たちは?」  クロエが壁際に立っていたメイドさんに指示すると、すぐに別室から子供たちが運ばれてきた。  赤ん坊用のベッドに並べられた子供たちは、すやすやと眠っていた。  うん。  何度見ても子供たちは、人の姿をしてはいなかった。  だけど。  俺にとっては、かわいい子供たちに違いなかった。  しばらく俺は、ただ黙ってじっと子供たちを眺めていた。  急に、そのうちの1人がみうみうと泣き出し、次々と連鎖して3人ともに泣き出した。  すると、俺の胸の頂がきゅうっと痛み、じわりと身に纏っていた薄衣が濡れている。  「どうか、初めてのお乳をお子たちにお与えください」  クロエが俺に子供たちを抱き上げて手渡した。  「初めて出るお乳を飲ませると子供は、丈夫に育つということでございます」  俺は着せられていた薄衣の胸元をはだけるとぷっくりと膨らんだ胸から流れる乳をそれぞれ子供たちへ与えた。  子供たちは、最初はうまく吸い付くことができなかったがじきにちゅっとそこへ吸い付くと、んくんくっと乳を飲み始めた。  「んぅっ!」  俺は、初めて子供たちに乳を吸われてその喜びに目尻に涙が滲んでくるのを感じていた。  最初に双子の子猫たちが乳を吸い終わると、次の子犬を抱き寄せた。  乳は、幸いなことにたっぷりと溢れだしていた。  3人目の子犬も、満腹になるまで乳を吸うと、けぷっと満足けにゲップをした。  子供たちは、赤ん坊用のベッドに戻されると俺のベッドの横におかれた。  俺は、眠っている子供たちの姿を確認しながら眠りに落ちていった。  こんなことが昼夜問わず何度も繰り返された。  俺は、だんだんと落ち着いていき、子育てにもなれてきていたんだが、そんなときふと、疑問が沸いてきた。  なんで2人は子猫なのに、1人だけ子犬なんだ?  俺は、クロエにきいてみた。  すると、クロエは、事も無げに俺に答えた。  「それは、この子たちの父親が違うからでしょう」  マジですか?

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