106 / 110

第106話

 8ー11 恥ずかしくって  俺は、今まで2人とは嫌々体の関係を持っているつもりだったが、こうなってみると少しは、いや、普通ぐらいには、2人のことが好きみたいだった。  だけど、いざ、意識してみるとなんか気恥ずかしくって。  俺は、2人とゆっくりと話をすることもできなくて、ただ、2人を避け続けるようになってしまった。  だって、恥ずかしくって。  とても、2人と向き合えそうになかった。  そんな俺の態度に業を煮やした2人は、ある夜、俺の部屋を訪ねてきて、俺を問い詰めた。  「なんで、私たちを避けている?」  ガイに問われて、俺は、言葉に詰まった。  俺は、頬を火照らせてうつむいた。  「なんでって」  「正直に答えろ!ティル、他に思いをよせる相手ができたのか?」  「そんな相手なんて、いない」  俺は、もごもごと口の中で呟いた。  「ただ、俺は、その・・恥ずかしくって」  「はい?」  2人が目を丸くしているのを見て、俺は、かぁっと頬が熱くなるのを感じていた。  いまさら、何を言ってるんだ、俺は。  2人とも呆れている。  やっぱ、そうだよな。  子供ができるぐらい体を重ねてきたのに、今さら、顔を会わせるのも恥ずかしいなんて変だよな。  「何が恥ずかしいんだ?ティル」  テオがきいてきたので、俺は答えた。  「その、なんとなく、2人とむきあうことが恥ずかしくって」  言えない。  今さらだけど2人が好きなことに気づいて、それを意識しすぎて恥ずかしくなってるなんて言えない。  「あいつ、か?」  テオがきいた。  「もう1つの世界の魔王とかいう奴のこと、好きになったのか?」  「ええっ?」  俺は、歯切れ悪く答えた。  「シロアも好きだけど、俺は」  「やっぱりか!」  ガイがちっと舌打ちした。  「ちょっと目を離したら、これだ」  「そんなことになっているとは」  ガイが憤りを隠すことなく呟いた。  「信じられん!」  「まったく、ティルは、誰にでも優しいからな」  テオがため息をついた。  「誰でも許しちまうし、受け入れてしまうんだ」  何、それ?  俺は、ムッとして2人をにらみつけた。  それじゃ、なんか、俺が尻軽みたいじゃないか!

ともだちにシェアしよう!