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第106話
8ー11 恥ずかしくって
俺は、今まで2人とは嫌々体の関係を持っているつもりだったが、こうなってみると少しは、いや、普通ぐらいには、2人のことが好きみたいだった。
だけど、いざ、意識してみるとなんか気恥ずかしくって。
俺は、2人とゆっくりと話をすることもできなくて、ただ、2人を避け続けるようになってしまった。
だって、恥ずかしくって。
とても、2人と向き合えそうになかった。
そんな俺の態度に業を煮やした2人は、ある夜、俺の部屋を訪ねてきて、俺を問い詰めた。
「なんで、私たちを避けている?」
ガイに問われて、俺は、言葉に詰まった。
俺は、頬を火照らせてうつむいた。
「なんでって」
「正直に答えろ!ティル、他に思いをよせる相手ができたのか?」
「そんな相手なんて、いない」
俺は、もごもごと口の中で呟いた。
「ただ、俺は、その・・恥ずかしくって」
「はい?」
2人が目を丸くしているのを見て、俺は、かぁっと頬が熱くなるのを感じていた。
いまさら、何を言ってるんだ、俺は。
2人とも呆れている。
やっぱ、そうだよな。
子供ができるぐらい体を重ねてきたのに、今さら、顔を会わせるのも恥ずかしいなんて変だよな。
「何が恥ずかしいんだ?ティル」
テオがきいてきたので、俺は答えた。
「その、なんとなく、2人とむきあうことが恥ずかしくって」
言えない。
今さらだけど2人が好きなことに気づいて、それを意識しすぎて恥ずかしくなってるなんて言えない。
「あいつ、か?」
テオがきいた。
「もう1つの世界の魔王とかいう奴のこと、好きになったのか?」
「ええっ?」
俺は、歯切れ悪く答えた。
「シロアも好きだけど、俺は」
「やっぱりか!」
ガイがちっと舌打ちした。
「ちょっと目を離したら、これだ」
「そんなことになっているとは」
ガイが憤りを隠すことなく呟いた。
「信じられん!」
「まったく、ティルは、誰にでも優しいからな」
テオがため息をついた。
「誰でも許しちまうし、受け入れてしまうんだ」
何、それ?
俺は、ムッとして2人をにらみつけた。
それじゃ、なんか、俺が尻軽みたいじゃないか!
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