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恋は盲目

一央は早熟で14歳とは思えないくらい大人びていた。少女のように顔立ちも愛らしくて、遼はすぐに一央に夢中になった。 「腹立つ。あの態度」 「本当だ」 「俺なんか飲み物一本買うためだけに真夜中にコンビニに行かせられたんだぞ」 「口のききかたもそうだが、躾がなってない。先輩である俺らを顎でこき使うんだぞ」 「馬鹿馬鹿してやってられない」 一央との生活を優先させる遼に、舎弟たちはしだいに不満を募らせていった。夏を過ぎる頃には、愛欲に溺れほとんど仕事をせずに一央とマンションに引きこもるようになった遼に堪忍袋の緒が切れた舎弟が次から次に辞めていき、龍や遥琉のところに、ひとりまたひとりと、日を追うごとに増えていって、あっという間に大所帯になった。 遥琉は組は違えど、彼ら全員快く迎え入れ、嫌な顔一つせず面倒をみた。橘も蒼生もそんな遥琉を影でそっと支えた。 「縣一家を辞めて、龍一家に入りたいならそうしたらいい。飛ぶ鳥は跡を濁さずだ。止めはしない」 そのときの若い舎弟たちは誰ひとり欠けることなく、龍一家、菱沼組と遥琉に付いていった。恩義に報いるため、命に代えてでも未知や家族を守ろうとしている。 一央が福島にとどまることにあまりいい顔をしないのも彼らなりに理由があるのだ。

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