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化身―カフカ―
「――そうですね。貴方のその素敵な舌で、俺のここを舐めてしゃぶって下さい。そうしたら見逃してあげますよ」
「っ…!」
阿川は平然とした顔でそう言ってきた。俺は、ますますこいつがわからなくなった。むしろさっきよりも行為がエスカレートしてきている。
このままでは…――。
その瞬間、自分の脳裏に最悪なことが浮かんだ。
「ッ……!」
「さっき俺が貴方にしてあげたようにして頂ければ、結構です。さあ、どうぞ――」
アイツはそう言って俺の前にアソコをつきだした。ゴクンと息を飲んだ。本当はこんな事はしたくない。だが、しなくてはならい状況に今追い詰められているのは確かだった。嫌だが、しないわけにはいかない。仕方なく自分に言い聞かせると、あいつの指示どおりにゆっくりと舌で舐め始めた。言われたとおりにしてやった。舌でゆっくりと舐めては、口を動かして必死にしゃぶりついた。あいつは俺が素直にいうとおりにすると上機嫌になった。
――まさか自分がこんな事をするなんて。まさか同性相手にこんな。俺は悔しくて涙が出た。アイツは上から見下ろしながら頭を掴んで舐めさせた。まるで犬と主のような光景だ。征服と服従。そして、支配。俺は無様にもあいつの玩具にされた。
「いいですよ葛城さん、もっと舌を使って下さい! そうです、もっとです!」
「んんっ…! っん…――!」
ゆっくりと舐めてはあいつが悦ぶ事をしてやった。もうそこには自分らしさなんてどこにもない。ただのいいなりだ。 あいつが画像をばらまかないように、必死でしゃぶって悦ばせた。
「素敵ですね。貴方みたいな高貴な人を、プライドの塊みたいな人を自分の言いなりに出来るなんて――」
「んんっ……!」
阿川は俺が服従している様子に満足そうに話した。そして、あいつに罵られながらも悔し涙を堪えて我慢した。人は誰しも、自分の弱味を握られればこの有り様だ。あいつに画像をばらまくと脅されてそれが嫌でこうしている。あいつの言いとおりだ。俺は今あいつのただの犬にしか過ぎない。まさか自分がこんな事をするなんて…――。
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