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198.好き放題言われる師匠と文句を言いながら甘える弟子

   テオドールはゆっくりと顔を上げて、レイヴンを真正面で見据える。  レイヴンはテオドールにしたいことをしていいと宣言したものの、真っ赤になったまま固まっているようだ。 「レイヴンは俺が今、何をしたいって思ってるんだ?」 「何って……恥ずかしがる俺を見て楽しみたいとか、そういうことですよね」 「俺が変態みたいじゃねぇか。それも嫌いじゃねえが、レイヴンが喜ぶように優しくしてるだろ」 「いつも変態で最低じゃないですか。優しさの欠片はあると思いますけど、俺が何を言ったって好き放題しますよね?」  テオドールは自分を誘ったレイヴンに物凄い悪口を言われていると理解した上で、呼気で笑う。  逆に好き放題言われている間も耳に唇を触れさせて、ひでぇなと小声で抗議する。 「でも……好き放題されても嫌いじゃないって思う自分が終わってるっていうか……」 「それは仕方ねぇ。俺がレイちゃんを開発……じゃなく、教育してるからな。俺のせいにして構わねぇよ」 「今、物凄いことをさらっと! あぁもう、俺をこんな風にした責任をとってくだ……」  テオドールは顎を掬い上げてちょんと顎へキスをしてから、改めてレイヴンの唇を啄んでいく。  赤の瞳にまだ抗議したそうな焦げ茶の瞳は諦めたように閉じられて、お好きにどうぞと言わんばかりにテオドールに合わせて柔く唇を食んでくる。  テオドールも唇の柔らかさを堪能するように、食んだまま片手を頬に添えて緩く顔を揺らして刺激する。  レイヴンの少しずつ熱くなってきた吐息を感じながら、テオドールは一旦唇を開放した。 「さっきみたいにレイヴンに優しく慰められるのも悪くねぇ。っつーか、ディーが訪ねて来てワザとらしく励ましてきたときは苛ついたが、レイなら何でも構わねぇよ。危険がないことならな」 「ディートリッヒ様を悪く言わないでくださいよ、もう。でも、俺が何してもいいだなんて……急に世界征服したいって言ったらどうするつもりですか?」  レイヴンが少しだけ瞳を開いて楽しそうに聞いてくるが、テオドールの答えは決まっている。  唇が触れるか触れないかの距離でレイヴンへ囁く。 「一緒に世界征服するに決まってるだろ。レイちゃんのやりたいことを好きなだけやらせてやるよ」 「冗談に本気で切り返さないでください。テオがその気になったら世界が滅びそうで怖いです」 「そこまで本気になったことはねぇからな。レイちゃん次第で俺は何でもできるってことだ」 「嬉しいような責任重大なような……やっぱりテオに首輪を付けられるのは俺だけってことですね」  レイヴンは苦笑すると、テオドールの唇へちゅっと口付けてからベッドを指さした。  テオドールはニヤリと笑んで言葉の先を促すと、レイヴンは渋々と口を開く。 「ソファーより、ベッドの方が広いから……さっきしたいようにしていいって言いましたけど、テオに甘えたい気分です」 「心配しなくても、レイヴンが励ましてくれた分は俺が褒めて甘やかしてやるよ」 「じゃあ……ベッドまで連れていってください」  レイヴンは両腕を広げて素直に甘えてくる。まるで抱っこをせがむ子どもみたいだ。  テオドールは笑いながらレイヴンを横抱きに抱き上げ、お互いにキスをし合いながらゆったりと歩を進めていく。  ベッドの上にレイヴンを優しく下ろすと、唇を合わせながら雪崩れ込むようにベッドへ倒れ込んだ。

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