テオドールは柔くキスを繰り返しながら、レイヴンの服を脱がせていく。 　性急に脱がせないのも雰囲気が出るし、レイヴンが望む甘い雰囲気になるかもしれない。 　そのせいかレイヴンも特に嫌がることなく、逆にテオドールの服を脱がせているのが分かる。 　胸元の紐を緩めるレイヴンの白く細い指が胸元を擽ってくるたび、テオドールも繰り返し肌に触れるだけのキスを落とす。 「ん……擽ったい……」 「今日はじっくり楽しもうぜ」 「言い方がテオですけど……今日は甘やかしてくれるんですよね？」 　レイヴンから疑い深さを含んだ瞳で見つめられるが、テオドールは努めて優しく微笑んで返す。 「ああ。このままキスだけで終わらせるか？　俺はレイを抱きしめて体温を感じるだけでもいい」 　レイヴンの服を脱がせたときに乱れた髪を指先で梳きながら、耳元でそっと囁く。 　チュッという音だけ残して至近距離で見つめ合うと、レイヴンの瞳が戸惑いに揺れた。 　テオドールは返事を待つ間に上半身だけ服を脱ぎ、圧をかけて焦らせないように気を配りながらレイヴンをじっと見つめる。 「それも嬉しいですけど……テオは我慢できそうですか？」 「できるかできないで言えば、できる。レイが嫌なら今日は最後までしない。ただ、レイに触れていれば身体は自然と反応しちまうからな。そこまでは許して欲しいもんだ」 　テオドールがフッと笑うと、レイヴンもちゅっと唇を合わせてから呼気で笑い返してくる。 　許しますという声とともにレイヴンからテオドールの身体を引き寄せて、何度目か分からない柔らかな唇を近づけてきた。 　テオドールは焦らずにレイヴンの上唇を軽く食んで、繰り返し触れ合わせながらゆっくりと身体を重ね合わせる。 「っふ……ぁ」 「ン……」 　 　キスを続けながら、指先でレイヴンの耳も擽っていく。 　やわやわと耳の輪郭を撫でながら時々耳の穴の中も優しく擽ると、小さくか細い声が漏れてくる。 「ゃ……ん」 「嫌か？」 「や、じゃないけど……変に感じちゃ……ぅんっ」 　コリコリと耳朶を摘まみ、優しく転がしてからするりと頬を撫でる。 　テオドールはレイヴンの柔らかな頬の感触を堪能し何度か撫でてから、また耳の穴を擽り唇を食んで啄む。 「あ、んっ……」 「レイ……」 　テオドールは名を呼んで、レイヴンの目尻に唇を触れさせた。 　少し滲んだ涙を柔く唇を当てて吸い上げる。 　少しずつ赤く染まり潤む瞳は、ぼうっとテオドールへ向けられているようだ。 「俺のいない間、良く頑張ったな。お前は真面目すぎるから、休んでいるのか心配だった」 「ありがとう、ございます。褒められるのは嬉しい……」 　ふわりと笑うレイヴンを眺めながら、テオドールもよしよしと頭を撫で続ける。 　時折鼻先や頬へキスを落とし、またレイヴンの唇へ戻る。 　上唇と下唇で食み、何度か甘噛みしてからちゅっと吸い上げて一旦少し身体を離すとふんわりとした吐息が唇に当たるのと同時にレイヴンと視線が重なった。 　レイヴンは少し言い淀んでから、頬を更に赤く染めて口を開く。 「テオ……キスは……もっと深くして、いいですよ？」 「分かった」 　レイヴンのお強請りに答えるようにチュッと唇を吸うと、ちょんと遠慮がちな舌が差し出される。 　お答えするようにテオドールが唇で舌を優しく包み込んで何度か吸い上げたあとに優しく舐めると、徐々に甘い声が漏れだしてきた。 「んぁ、ぅ……」 　テオドールが緩急を付けながら暫く繰り返していると、レイヴンの吐息の温度もじわりじわりと上がってくるのが分かる。 　ゆっくりと時間をかけた愛撫で、互いの身体の熱がじんわりと高まってきたみたいだ。 　レイヴンの舌を突いてから、ぴたりと重ね合わせて更に深く口付けていく。