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203.今夜だけは※

   テオドールがあまり身体を動かさずに一体感を楽しんでいると、レイヴンが更に身体を密着させてきた。  お互いに触れあう面積が広いと、単純な気持ちよさもあるが安心感もある。  あまり動かさずにいると、レイヴンもふわふわ気分から少し意識が戻ってきたようだ。 「いつもみたいに激しくないのに……凄く愛されてる感じがします」 「俺はどっちの時も同じ気持ちなんだがなァ?」  テオドールがツンと戯れに奥を突くと、ひゃんっという可愛らしい声があがる。  レイヴンは恥ずかしさを思い出したように、ぎゅううと俺のことを力いっぱい抱きしめてくる。 「おー。熱烈な歓迎だな」 「もう……テオの意地悪」  テオドールの耳元で囁いたレイヴンが、仕返しとばかりに耳を食んでくる。  可愛い反撃に、レイヴンのナカで大人しくしてたテオドールの分身も喜んで大きくなってしまった。 「ぁ……」 「優しく可愛がってんだから、大人しくしとけっての」  テオドールは嗜めるように頭のてっぺんにキスを落として、イイコイイコと頭を撫でる。  ゆさゆさと身体を揺らすが、刺激を与えるのは最小限にして唇で耳や頬に触れていく。  唇に触れた時だけ、啄むように何度もキスを繰り返す。 「苦しいはずなのに……このまま繋がっていたい、だなんて」 「俺は構わないけどな。なんなら寝てもいいぞ。俺はさっきも言った通り、今夜は側にいて離さない」  額と額を優しく合わせて、念押しのキスをする。  レイヴンと目を合わせると、綺麗な焦げ茶の瞳はテオドールだけを捉えていた。  表情を見ていても、嬉しそうにしているのがよく分かる。  今晩のやり取りはレイヴンも大変お気に召したようだ。 「はい。俺も……テオの側にいます」 「可愛いこと言ってくれるじゃねぇか。いつもそのくらい可愛くてしてくれりゃあ満点だってのによ」 「っ! も、言いながら……ぁ、あんまり奥で動かしたらダメ、だからぁ……」  ゆっくり動かしてもテオドールの存在感は誤魔化せないらしい。  しっかり感じるところはレイヴンらしい。  笑いながら謝るとレイヴンは一瞬むくれた顔をして見せたが、すぐに笑顔に戻る。 「テオも我慢するのは大変でしょうし……辛くなったら、動いても……いいんですよ?」 「出したくなったら出すから、気にすんな」 「言い方が……ぁ、んっ」  時々擦れるところはレイヴンにとっても我慢しきれない場所なのだろう。  目を閉じてやりすごそうとしてるが、このまま強く刺激すればあっさり果ててしまうかもしれない。   「今晩くらいは、もっと甘えても……いいですよね」 「ああ。今は俺のことだけ考えとけ。じゃないと、意識が飛ぶまでやっちまうからな」 「いつも、そうしてる癖に……」  レイヴンもテオドールと同じことを察してるのだろう。  暫くはゆっくり過ごす時間もなくなってしまうということに。  そろそろ、待ちくたびれてこちらにちょっかいかけてきそうな邪魔者を何とかしなくてはならないからだ。  だからこそ今夜はレイヴンと一緒に甘い時間に溺れながらゆっくりじっくり愉しまないといけないと、テオドールは心の中で思っていた。

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