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202.かけがえのない存在※

   テオドールはじわりじわりとレイヴンを追い詰めていくのも悪くないと思っていた。  ただテオドールの欲望が深くレイヴンのナカへ入りたがってうずうずしているのは、いつものことで仕方ないことだった。  増やした指で丁寧に刺激していくと、レイヴンもテオドールを受け入れる準備ができてきたようだ。 「んぁ、あ……っふ」 「痛くはなさそうだな。どんな感じだ?」 「ふぇ……? ぁ、ん……」  レイヴンのとろんとした目がテオドールへ向けられる。  唇が僅かに動くのを見逃さずに耳を近づけると、レイヴンが律儀に気持ちいいと言っているのが分かってテオドールも思わずニヤケる。 「そうか。なら、良かった。熱くて程よく締め付けてくる。レイヴンはホント俺のことが好きみたいだな」 「ひゃんっ! ん……すき」  テオドールがレイヴンのお気に入りの場所をコリっと引っ搔くと、甲高い声が上がる。  レイヴンも順調に蕩けてきたことが分かり、テオドールも一安心する。  ご褒美のキスをしながらゆっくりと指を引き抜くと、名残惜しそうにきゅうっと入り口を締められた。 「さて……お次は?」  テオドールが問うと、レイヴンがもじもじしながら後孔をひくひくと震わせてくる。  分かりやすいお誘いにテオドールも舌なめずりしかけて、慌てて笑顔に切り替えた。 「テオを……もっと感じたい」 「もっと、ねぇ? キスか? それとも……」  テオドールが優しく尋ねると、レイヴンの手がそっとテオドール自身に触れた。  レイヴンは恥ずかしそうにしながら、屹立をひくついている後孔へと導く。 「……両方」 「分かった」  レイヴンにお強請りされたら、テオドールも応えないといけない。  唇を合わせながら、なるべくゆっくりめに欲望を差し入れていく。  つぷ……という感触がすると一気に挿入したくなる衝動に駆られるが、何とか抑え込んでじわじわと攻める。 「……っ!」  テオドールは同時に口内へ舌を差し入れて、レイヴンの舌をちゅっと吸い上げる。  上は少し強めの刺激に、下は優しめの刺激で調節するとレイヴンの中がギュウと縮こまる。  ナカで絡みつく感触が堪らない。  テオドールも息を逃しながら進めないと、意識を持っていかれてしまいそうだった。 「ッ、良さそうで何よりだ」 「あぁっ、あ、んっ!」  テオドールはゆっくりと最奥に到達したところで一旦動きを止めて、キスの方に集中する。  舌と舌を絡み合わせ、時々舌先で口内も擽る。 「んあぁ……ぁ、っふ」  締め付けが弱まったところで、ゆさゆさと身体を揺らして優しく最奥を刺激する。  テオドールがトントンと一定の間隔で叩くと、レイヴンの薄く開かれた瞳からツーっと涙が流れてくる。 「キツイか?」 「んっ……だいじょうぶ……」  ちゅっと唇へ口付けてから、涙を掬うように目尻と頬へ順に唇を触れさせる。  テオドールはその間も緩く身体を揺らして、刺激していく。   「ふぁっ、あ……ん、んん……」 「イイ感じか?」 「ん……ふわふわして、ぽかぽかする……」  その言葉通り、レイヴンは目尻を赤く染めながら幸せそうに微笑んでいた。  どうしてもがっついてしまうのは、テオドールの癖みたいなものだ。  無理にイカせようとせずに、レイヴンにじっくり堪能してもらうのも悪くない。  心が満たされるというのも、安心するものだ。  テオドールが愛おしさを込めてギュウっと抱きしめると、レイヴンも答えるように両腕と両足をテオドールへ絡ませてくる。  自然と欲望がレイヴンのナカの深い位置で固定された。 「テオ……すき」 「ああ。俺もだ、レイ。こうして一晩中、繋がっていたいくらいにな」  これはテオドールの本心だ。  絶対に手放したくない、かけがえのない存在。  ずっと側において、永遠に可愛がっていたい。  正直、何もかもどうでもいい。レイがいればいい。  気付くと、テオドールまで頭の中がふわふわになりかけていた。  それくらい、テオドールもレイヴンに溺れているということなのだろう。  テオドールはギリギリの理性で正気を繋ぎとめて、今はレイヴンを可愛がることだけに集中する。

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