14 / 14

5-1

「ん…今何時だ?」 学校が終わって即致したため眠りに入った時点で17時くらいだった気がする。あたりはすっかり暗くなり、部屋も明かりを灯していなかったため真っ暗だった。ベッドサイドに置いていたスマホを起動させてその光に目を細めながらも時間を確認すると、2時間半ほど経っていた。 「腹減った…」 あれだけ運動したこともあってかすごく空腹感を感じていた。ふと、横を見ると心地よさそうな顔で時雨が眠っていた、まだ起きそうな気配はない。俺より体力消耗してるよなとそのままにしてやり、俺はそっとベットから出、一階へと降りた。そういえば今日両親は共に出張に行ったんだった。と物音のしないリビングに来て思い出した。 「飯、ねえな…ピザでも取るか」 一緒に持ってきていたスマホでLサイズのピザを2枚注文し、40分後に届けられると表示されていたので、俺はテレビをつけてソファへと身体を預けた。 特にみたい番組があるわけでもないので全然頭に入ってこず、脳内を占めているのは先ほどまで行われていた行為のことだった。 普段あんなアホアホなのになんであんなにエロくなるんだよ、つか、キス好きすぎんだろ…あんなちゅーちゅーねだりやがって、反則すぎ…、久しぶり突っ込んだけど中の具合も最高に気持ちいいし、他とできなくなりそう、ってかもうしばらくしてないけど、はぁ、次いつ抱かせてくれっかなぁ 、キスはさせてくれそうな気すっけど、今日も勝手に対面座位に持ち込んで泣かしちまったし、またしばらく拒否られそうだよなぁ、あーなんとかいつものアホ発揮して丸め込まれてくんねえかなぁ……。 なんてことを永遠と考えていると、ピンポーンとインターホンが鳴ったのでピザを受け取り、そのまま二階へと上がった。 自室の扉を開けると時雨はまだ寝ていた。ローテーブルにピザを置き、時雨にも食べさせるべく、声をかけた。 「時雨、しーぐれ、起きろー飯だぞ」 「んぅ…あと5分…」 朝もいつもこうやって二度寝していつも遅刻ギリギリなんだなと思いながら、ゆっくり身体を揺すった。 「おい、ピザ冷めるぞ、俺が全部食うぞー」 「んー!!ダメに決まってんだろっ!」 ピザに反応したのかなんなのかムニャムニャしていた口調から急にはっきりした口調へと切り替わりながら時雨がガバリと飛び起きた。 「ピザ!!うっ!腰イテェ…」 キョロキョロと寝起き3秒でピザに飛び付こうとした時雨だったが、先ほどまで酷使した腰がその動きを制限したようだ。 「もー!ミリのせいで動けないぃ!どうにかしろっ!」 「んなこと言われても…」 「抱っこ!抱っこでそっち連れてけ!」 「えーマジかよ、絶対重いじゃん」 「文句なし!はやく!ピザ冷める!」 ん!としまいは俺に向かって両手を伸ばしてきた。仕方なくその手を取り自分の腕を時雨の腰に回し、どうにか持ち上げてみたが、やはり大した距離は移動できずベッドのすぐ下へと時雨を抱いたままへたり込んだ。対面座位みたいな体勢になっちまったななんて考えていたら時雨がくるっと向きを変えて俺の脚の間へとおさまった。動けないんじゃ?と思ったがそこは食欲の為せる技だろうとツッコまないで置いた。 「あのー時雨サン?もうすこし前行ってもらわないと俺が移動できないんだけど?」 「ミリは俺の背もたれ役とご飯食べさせる役だからそのままでいいんだよ、俺はもう手一本だって動かしたくねーから、ほら、早く食わせろ」 あーんと口を開けて少しこちらを振り向いている、どこ我儘暴君だコイツはと心の中で悪態を吐きつつ、俺は脚の間にいる時雨ごと身体を前に倒し、ローテーブルを引き寄せた。 「腰いてーんだから、もっとてーねーに扱ってくれよ」 「うるせぇ、食わしてやるだけありがたいと思え」 「俺知ってるぞ!そういうのおーぼーっていうんだ」 「横暴?お前がだろ、まぁいいや、食え」 「ん、いただきます」 箱からピザを切り取り、時雨の口元に持っていくと本当に自分の手は使わず齧り付いてきた、もぐもぐと見る見る口の中へとピザは消えていった。 「うまっ、ピザ考えた奴天才すぎん?」 1ピースを食べ終わるとすぐさま、口をパカっと開けて次を要求してきた、お前はツバメのヒナかとツッコミつつ、食べさせてやったが、肝心の俺が食べれておらず、時雨が耳の部分をもぐついてる間に、手早く己の口へと運んだ。 「たしかに、天才だな」 「なー」 20分くらいかけてピザ2枚を食べ終わる頃には俺に完全にもたれかかってくつろいでいる時雨にもなんだか慣れてきて、これまたテレビを適当につけながら、特に会話もなくゆったりした時間が流れていた。 なんだこの状況…付き合いたてのカップルか??ってか俺たちの関係って、セフレ??付き合うとか、そういう感じじゃねえよなあ…ってかコイツの尻最初に触ったカテキョって一体どこのどいつなんだ?そいつがいなかったら時雨とヤってなかったかもと思う反面、なんだか面白くないのも事実だ。 「なぁ、時雨、お前が前尻いじらせてたカテキョってどんなやつ?」 胸の辺りがムカムカしてきて気づいたら時雨の後頭部に向かって話しかけていた。チンコはいれたことないって言ってたからバックバージンは俺がもらってしまったが、時雨にアナニーを教え、俺以外にコイツの中を触ったことがある奴がいると思ったら許せない気持ちになった。 「ハァ?俺、ミリ以外にいじられたことねえけど?」 「え?」 時が止まったような気がした。キョトンとしているとそのまま時雨が話し出した。 「カテキョって言っても母ちゃんがどっかで見つけてきた無料体験みたいなやつで1回しか来なかったし」 「でもお前カテキョにオナニーはケツいじるって教えてもらったって言ってたよな」 「俺が勉強すぐ飽きてやりたくなくなって、ちょうどその日ガッコーでオナニーの話したから、センセーはどんなオナニーすんの?って聞いたら、ケツいじるって言い出して、最初はありえねーって思ったんだけどさぁ、みんなやってるんだよとか、チンコいじるより気持ちいいとこあるんだよとか、ケツのいじり方とか教えてくれたから、その後1人になってから、自分で触ってたみたら本当に気持ちいいとこあって、センセーの言ったこと本当だったんだ!みたいな?」 つまりなんだ、時雨は中学の時にアナニー好きのカテキョから話だけ聞いたってことか?指は俺以外だと時雨の指しか入ってないって? その事実にさっきまでムカムカがなくなり、スッキリした気持ちになった。 「本当に俺だけなんだな?」 「そーだって言ってんだろ」 「ふーん」 そっけない返事を返しつつも内心おそらくネコだった(時雨とこうなってから知った用語)家庭教師に安堵した。中学生にアナニーを教える変態であることは間違いないが。 「はー、飯食ったら眠くなってきた、ミリ今日泊まっていいー?」 「別にいいけど…風呂はどうする」 「全身ダルいからムリ」 即答だった。腕の一本も動かせないんだったなそういえば。 「じゃあ、もうベッドな」 膝の間に座っていた時雨を後ろから抱き抱えるようにし、どうにかベッドの上にあげた。 「俺はここら辺片付けてくるけど、もう寝てていいからな」 「ん、おやすみ」 言うなり目を閉じた時雨は数秒で寝息を立て始めた、おやすみ3秒って本当にいるんだなと思いながら俺は片付けを済ませ、客用の布団で寝るかどうか一瞬悩んだが、出すのも片付けるのもめんどくさいし、今更おんなじベッドで嫌がられることもないだろうと考え、普段より寝るには早い時間だったが、時雨の隣に入り、俺も眠りについた。

ともだちにシェアしよう!